木造住宅の寿命と日本の住宅の法定耐用年数の違い

木造住宅の寿命と日本の住宅の法定耐用年数の違い

木造住宅の寿命は設計、施工技術、住宅性能、劣化対策など、様々な要因によって変わります。すべての要因が満たされていれば、子や孫の代まで暮らしやすさが続く家が生まれ、かけている部分が多ければ、法定耐用年数と同じような短い寿命の木造住宅になってしまいます。

木造住宅の寿命を伸ばす為に必要な要素にはどのようなことが挙げられるのでしょうか?

木造住宅の寿命への誤解と耐用年数との違い

寿命の長い木造住宅 緑の庭を望む大開口リビングの家

緑の庭を望む大開口リビングの家

木造住宅は瓦屋根が載っているから地震に弱い、木でできているから燃えやすい、木材腐朽菌の繁殖やシロアリ被害で耐震性が低下する、住宅ローンが終わる頃には暮らしにくくなる…このような考えは、誤解とは言い切れない部分があり、残念ながら全く間違っているとは言えません。

法定耐用年数が過ぎると、地震が起こっていないにもかかわらず傾いてしまうというような住宅はさすがにありません。ただ、実際には22年という法定耐用年数が過ぎる頃には暮らしにくくなる家は存在します。

瓦屋根は重いので、それに見合うだけの対策がされていない住宅は耐震性が低下します。防火対策が徹底されていなければ、火事の被害が大きくなってしまいます。換気計画が不十分であったり、基礎などに防蟻対策が施されていなかったりすると、構造部が侵され耐震性が低下します(これらのに関する最低限の対策は、建築基準法などで定められてはいるのですが)。

また、ライフステージの変化に配慮していなかった間取りの家は、家族の暮らしの変化に対応できないので、暮らしにくい家になっていきます。

木造住宅には、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)の家にはない心地良さと、RC造やS造の家に比較すると建築費や製造時の発生CO2を抑えられる良さがあります。木造住宅での家づくりを検討される際には、これらの誤解が現実になってしまう家にならないように計画を進めることが大切です。

施工事例

木造住宅は瓦屋根が載っているから寿命の短い家になる訳ではない

寿命の長い木造住宅100年住宅を目指した家

100年住宅を目指した家

屋根は重いほど地震力に対する構造の負担が大きくなるので、重い瓦屋根は耐震・耐風性能が低いと思われがちです。ですが、建築基準法において屋根や壁の重さに応じて求められる構造強度が違うので、法に則りきちんと計算した建物であれば、屋根材や壁材の違いによって耐震・耐風性能が劣るという事はないはずです。

そして屋根や壁の荷重に相応の、必要な構造強度を算出し、構造計算に合わせた構造体にすればよいのです。

耐震への備えは建築基準法に定められている最低限の基準を満たすだけではなく、2階建て以下の木造住宅であっても構造計算をし、より高いレベルでの安心を担保する耐震等級3をクリアすることが重要です。

参考サイト 地震と瓦屋根の安全性について

木でできているから寿命の短い家になる訳ではない

一般に木は燃えやすいと思われていますが、構造材となる柱や梁など太い木材は、燃えて表面に炭化層ができると、内部へ酸素が供給されなくなるので、一定時間それ以上燃えにくくなります。S造において、鉄骨材の熱による変形を遅らせるために、構造材の表面を所定の材料で被覆するのと同様のイメージです。

参考サイト 埼玉県公式サイト 木材に関する誤解
参考サイト 農林水産省 こども相談 桐(きり)が燃えにくいのはなぜですか。

それと同様に大切なことは、延焼を遅らせる構造や仕上・下地材料、避難しやすい間取りなど、新築時に十分な防火対策を備え燃えにくい家にすること、万が一火災が起こってしまった際には、間違いなく非難できる家にすることです。

参考サイト 住宅防火対策協議会 防火の家づくり

木造住宅には木材腐朽菌の繁殖やシロアリ被害で耐震性を低下させない対策が必要

寿命の長い木造住宅 大屋根と丸太架構の家

大屋根と丸太架構の家

木材腐朽菌は、木材がある一定の条件になると繁殖して木材を腐らせる菌です。その条件とは栄養源としてのセルロースやヘミセルロース、リグニンなどの木の成分、気温20℃~30℃前後の温度域、酸素の供給、そして木材の含水率25%~150%になるような湿気です。

それらの条件のうち、栄養分は木材の主体となるもの、20℃~30℃の温度と酸素の供給は私たち人間にも必要な条件です。つまりコントロール可能なのは水分の供給のみといえます。もし気温が20℃~30℃前後であっても、空気が適度な湿度域で雨漏りなどによる水分の共有も無ければ木材腐朽菌は活性化しません。

その為、構造部の湿気対策が耐震性や耐久性の維持に非常に大きな役割を果たします。構造部の湿気対策は木造住宅の寿命を決めると言っても過言ではありません。構造部の湿気対策には屋根やサッシの隙間、換気扇などからの雨水侵入を防止する、内部結露を発生させない断熱・防湿気密施工、適切な換気計画などが挙げられます。

日本の住宅は長らく、夏は過ごしやすいが冬は寒い家でした。夏は風通しの良さが快適な環境を作る一方、冬は隙間風で家の中の温度が低下してしまう為です。しかし、その分内外温度差や湿気の滞留がなく、内部結露が発生しづらい家でもありました。

現在では、国交省の施策によって、家庭での省エネ性を高める為、断熱住宅への取り組みが始まり、冬でも暖かく過ごせる家が増えています。ただ、断熱工事と防湿・気密などの結露対策をセットで施工しなければならないという知見が、施工者に一般的に共有されないという状況が長く続きました。その結果、内部結露が発生し、新築から数年で傾いてしまう住宅がナミダタケ事件として世間を騒がせたこともあります。

参考資料 腐る木材、腐らない木材

湿気対策に関してはこちらのコラムをご覧ください。⇒ コラム 木造住宅の湿気対策は新築時の計画が重要

シロアリも木材腐朽菌と同じような条件で繁殖しますが、大気中に浮遊する木材腐朽菌と違い、日本にいるシロアリの多くは土中に巣があります。なのでシロアリ対策には、地盤面から土台・床まで(主に基礎)の造り方がかかわってきます。

木造住宅の床下の断熱の方法には、床断熱と基礎断熱があります。                                     床断熱は以前から日本の住宅に一般的に使われてきた工法で、床の裏面に断熱材を敷き詰める工法です。床下空間の湿気対策として基礎の立上り部分に換気口を設ける為、床下は外気と同様の温熱環境となります。

断熱施工に不備があった場合、冬は床からの冷気で底冷えがします。夏に室内の冷房によって冷やされた床下で発生する逆型結露のリスクも指摘されていますが、地面と土台や柱などの木材との間にはコンクリートしかありませんので、シロアリ被害のリスクは比較的少ないと言われております。

一方、基礎断熱は基礎の外周、又は内側を断熱材で覆う方法です。この工法は、外気と床下空間が遮断されますので、床断熱にくらべて施工不良による温熱環境の悪化リスクは大きくありません。ただ、シロアリ被害のリスクは基礎断熱工法の方が高いと言われています。基礎断熱を採用する場合は、コンクリート打継部のコーキング処理や土台下のアリ返し・防蟻シーリング施工など、細心のシロアリ対策が必要です。

参考資料 日本建築学会大会学術講演梗概集 木造建築の耐用年数(木造建築の寿命は短くない)

施工事例

いつまでも快適に暮らせる寿命の長い木造住宅

寿命の長い木造住宅 田園風景に癒される焼杉板張りの家

田園風景に癒される焼杉板張りの家

住宅ローンが終わる頃に暮らしにくくなるのは、木造住宅の寿命のせいではありません。ただ、現実には構造部がしっかりしているにも関わらず、暮らしにくくなってしまう住宅もあります。その理由は、ライフステージの変化に対応し難い間取りや断熱性能、設備の更新性の問題です。

新築住宅は子育てに備えて建てるというご家族が非常に多いです。子育て中には、子どもの成長に応じて様々な暮らしの変化が生まれ続けます。第二子が誕生する、子どもが就学するなどのタイミングで生まれる子供部屋が必要になったり、洗面所やトイレの数が足りなくなったりといった変化です。

また昨今ではコロナ禍による在宅業務やオンライン授業などで、今までにはなかった遮音に配慮されたスペースが必要になったりしています。子供が成長し独立していくと、使わない部屋が増えます。ちょうどこのタイミングで法定耐用年数を迎えるご家族もあるのではないでしょうか?

さらに月日が過ぎ、現役をリタイアする、高齢になり階段の昇り降りがしにくくなるといった状況も生まれます。それぞれの時に備えて、小さなリフォームで暮らしやすさを維持できるような対策をしておくことが、暮らしやすさの寿命を長くします。

子ども部屋は下の子どもも就学したら間仕切壁で2部屋に分離できる用意しておく、子ども部屋は子どもが独立後、書斎や趣味の部屋として活用できるような位置にしておく、物が多い子育て中には収納として使う場所をいずれエレベーターにできるようにしておくなど、将来の暮らしの変化を見越した間取りにしておくことも、住宅の寿命を長くするためには大切な要素の一つです。

これから建てる住まいは、しっかりとメンテナンスをして大切にお使いになれば、22世紀にまで存在し続けるものです。省エネルギー性にしっかりと配慮した建物でなければ、地球への負担が大きなものになります。

その意味では、設備の更新性への配慮も大切です。住宅設備は日々進化を遂げており、20~30年毎の更新は、使い易さや省エネルギーという意味でも必要になります。

木造住宅の寿命は法定耐用年数とは異なります。適切な施工とメンテナンスをすること、暮らしの変化に配慮した間取りにすることで、子や孫の代まで快適に暮らせる寿命の長さを備える家にできます。

施工事例

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

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