木造住宅の湿気対策は新築時の計画が重要

木造住宅の湿気対策は新築時の計画が重要

築時には外観や内装のデザイン、間取り、断熱性や気密性などの室内環境を調える性能、家族の安全を守る耐震や防犯への備えなど、決めることがたくさんあり、どれも重要な項目で欠かすことはできません。この中で断熱性や気密性と同時に進めなくてはならない計画の一つが家族の健康と住宅の寿命に大きく影響する木造住宅の湿気対策です。

木造住宅に湿気対策が必要な理由

田園風景に癒される焼杉板張りの家

田園風景に癒される焼杉板張りの家

適度な湿気は皮膚や髪、呼吸器官を健康の維持に欠かせませんが、過度な湿気は、人間の健康ばかりでなく住宅の耐久性にも悪影響を与えます。しかし、住宅には知らずしらずのうちに、必要以上に湿度を高めてしまう要因がいくつかあります。多湿な環境になりやすい家にならないよう、それらの要因に対して湿気対策をしておくことが大切です。必要以上に湿度を高めてしまう要因とその対策について確認していきましょう。

屋根や壁からの雨漏り

漫画の一コマのように天井からの雨漏りで、しずくをバケツに溜めるというような状況は実際には滅多に起きません。しかし、施工不良や不適切な設計によって、日常的に普段目にすることのない部分に雨水が侵入し、腐朽などにより建物を傷め、構造強度や耐久性を低下させるケースは後を絶ちません。

屋根は、その形状によって雨水浸入のリスクの高さが違います。切妻屋根は単純な形状で、比較的に雨漏りに強い屋根ですが、大棟に設置する小屋裏換気用の排気部分のディテールが適切に施工されていなかった場合、雨漏りのリスクが発生します。寄棟屋根の場合、棟や谷が多くできる様な複雑な形状にすると、大雨時の雨水の集中や、ゴミ溜まりによって、雨水が浸入するリスクが高まります。

片流れ屋根は、もっとも単純な形状なので水はけは良いのですが、雨樋が一辺にしかない為、大雨の時に雨樋から雨水があふれ、それが屋根や外壁の内部に浸入する可能性があります。また傾斜が緩いと、年数の経過による劣化で凹凸が出来、屋根自体に雨水がたまってしまうことが稀にあります。片流れ屋根を計画する場合は、外観デザインのイメージだけではなく、使用する屋根材の仕様書を確認して、雨漏りに対して安全な勾配に設定することが大切です。

また、傾斜角度をきつくすると雨漏りのリスクは低下しますが、屋根を流れ落ちる雨水の勢いが強く樋から溢れてしまいがちなことの他に、強風に対する対策、北側隣地への日照的な配慮など、地域の気候や環境と考え併せる必要があります。

招き屋根、袴腰屋根、入母屋屋根は、高級感があり立派な屋根ですが、複雑な形状なので、丁寧で確実な施工がされていない場合、雨漏りのリスクの高い屋根になってしまいます。複雑な形状の屋根にしたい場合には、特に施工技術が優秀で、経験値の高い工務店で家を建てることが雨漏り対策に繋がります。

換気扇や窓のサッシの隙間からの雨水の侵入

換気設備の選び方や開口部の仕様によっては、換気扇や窓のサッシの隙間から強風を伴う雨の際に雨水が侵入してしまうことがあります。最近の樹脂窓など高気密・高断熱な窓が一般的になっている一方、少し古いタイプの窓や低価格の窓もまだ使用されており、強風雨時には雨水浸入のリスクがあります。

開口部や設備配管貫通部などに関しては、防湿気密層や透湿防水層との取り合い部の的確な処理が大切になります。外壁からの雨水浸入事故の大半がこれらの部分の施工不良が原因となっています。使用材料の施工要領書や瑕疵担保保険の基準書通りに施工されているかを確認しましょう。

それらを網羅した施工標準仕様書を独自に用意していたり、第三者の点検を受けるシステムを整備している工務店を選べば、より安心感が高まります。換気設備も窓も、雨漏りのリスクのない製品を選び、的確に施工することが雨漏りのリスク回避に繋がります。

 屋根には家を風雨や紫外線から守ると同時に、軒の出による日射遮蔽機能や断熱機能によって室温の調整をするという役割もあります。

コラム 平屋の屋根にはどんな種類がある?おすすめの形は?

施工事例

結露と湿気対策の関係

本格和風テイストの平屋の家

本格和風テイストの平屋の家

窓ガラスや浴室の天井に発生した水滴をご覧になったことはあるのではないでしょうか?この現象は、窓ガラスなどのような目に見える部分だけに発生(表面結露)するのではなく、結露計算による確認や換気計画が不十分な住宅の床・壁・天井などの内部にも起こります(内部結露)。

結露が住宅に与える影響

内部結露が発生してしまうと、構造部材である木材が腐朽したりシロアリの被害が発生したりします。その結果、構造強度が低下して、地震の際に倒壊してしまう危険が高まってしまいます。従って、木造住宅の湿気対策で重要なことは、内部結露を発生させないことです。壁の内部や床下、屋根下地などの構造部に結露が発生する原因と対策について考えていきましょう。

結露が発生する理由

日本には四季があり、梅雨時から夏場にかけては高温多湿な環境がつづきます。多湿な環境とは、空気中の水蒸気量が多い状態です。空気には低温になるほど含むことのできる水蒸気が少なくなり、高温になるほど多くの水蒸気を含むことが出来るという性質があります。その為、夏の高温多湿な環境下では、大気に含まれる水蒸気量はとても多く、冬の低温乾燥の環境では大気の水蒸気量はとても少ないといえます。夏季の大気中の水蒸気量は18g/㎥を超え、冬季は3g/㎥を下回ることもあります。

たとえば冬季に室内の暖房・加湿した空気が、防湿気密シートの施工不良などによる隙間から断熱材の室外側に進入し滞留すると、急激に冷却され、露点温度を下回り結露してしまいます。また、夏季にも高温多湿な外気が外壁などから大量の水蒸気をもたらし、室内の冷房によって冷やされた内壁に触れ、やはり内部結露するリスクが高まります。

結露が冷たい飲み物を入れたグラスや、窓ガラスだけではなく、住宅の構造部に発生する原因には、住宅の断熱性と気密性がかかわっています。昔ながらの日本の住宅は、現代の住宅ほど結露による構造部の腐朽はありませんでした。木や瓦、和紙、漆喰、土などの吸放湿する建材が使われていたことも一因ですが、断熱性能が低かったため建物の壁や屋根の内部での内外温度差がさほど大きくなかったこと、貧弱な気密性能で水蒸気の滞留や水蒸気圧の内外差が発生し辛い環境であったことが、かえって結露の発生リスクを下げ、木造住宅を長持ちさせていました。

徒然草に記される「家のつくりようは夏をむねとすべし。」という思いは、もしかすると木材の水分への耐性の低さを意識した、昔の人の知恵の結晶だったのかもしれませんね。

断熱性・気密性と結露の関係

日本の住宅が変化し始めたのは、断熱性と気密性の高い家を実現するための性能が求められるようになっていったからです。屋根や壁、床に断熱材を入れ、隙間風をなくすことで、熱の出入りが抑えられる家が求められてきたのです。熱の出入りを抑え、最小限の冷暖房で快適な室温が維持できる省エネな家の実現に向けて研究、研鑽が進められてきました。

断熱性と気密性を高めるということは、つまり外気温から室内の温熱環境を解放するという事です。それは外壁や床面・屋根などの外皮において、大きな内外温度差が発生し、ひいては内部結露のリスクが高まることを意味します。様々な知見が揃ってきた現在では、初期の高断熱住宅に起こったような気密施工への配慮不足による原初的な事故の発生は激減しましたが、未だに結露発生のメカニズムを理解していない設計者や施工業者による、設計の不備、施工不良が内部結露を誘発する原因となっています。

断熱施工により一定の温度差が発生した壁体内等に水蒸気が進入し、露点温度を下回れば結露リスクが発生するということが基本中の基本です。その基本を押さえたうえで、それぞれの使用材料の断熱性や透湿抵抗、吸湿性などを考慮した結露計算を行い、安全性を確認することが必須になります。

また、適切な換気計画も重要な要素となります。冷気や水蒸気の滞留が内部結露のリスクを高め、構造部位の腐朽や蟻害を誘発して、耐震性の低下を招く危険性があるからです。加えて、断熱層内部に水蒸気を可能な限り進入させない様な防湿・気密性の確保、進入した水蒸気は滞留させないで外部に放出させる様な使用材料と断面構成の計画も大切なことになります。

参考資料 公益社団法人 日本建築士会連合会 木造住宅の断熱施工の大切なポイント

木材の選び方も耐久性に影響します。天然の木には吸水・吸湿性があり、建材として乾燥処理されたのちも水分を吸収します。使用部位によってはどうしても多湿な状況に置かれる場合もあります。その場合、木材が水分に対する処理がされていない場合、木材腐朽菌が発生し、シロアリを呼び寄せてしまう場合もあります。その為、薬剤注入やアセチル化・エステル化などの化学処理による水分対策の検討と同時に、ヒノキ,ヒバ,ベイスギなどの木材腐朽菌に強い木材部位を選ぶことも大切です。

参考資料 森林総合研究所 木材腐朽のメカニズムとその防止

 造住宅での家づくりでは、木材の種類によって、室内の居心地の良さが変わるだけではなく、予算も変わってきます。家づくりに備えて、間取りや住宅の性能と並んで、木材についても確認していきましょう。

コラム 木造住宅にはどんな木材が使われているの?

施工事例

湿気対策された木造住宅の暮らしやすさ

木製デッキ越しに庭をのぞむ平屋の家

木製デッキ越しに庭をのぞむ平屋の家

家は長く住まう場所です。新築時に十分な換気計画、湿気対策が必要な理由の一つは、劣化の速度が緩やかな家、何年経っても地震に強い家にする為です。そしてもう一つの大切なことは、家族の健康や快適性に悪影響を与える家にしないことです。

湿度の高い家はカビが発生しやすく、カビが発生するとそれに伴ってダニも増殖します。その結果、空気中にカビの胞子やダニの死骸が舞い散り、アレルギー発症の原因を生み出してしまいます。カビの発生リスクは相対湿度70%以上から高まります。また、アレルギーやバクテリア/ウィルスの発生リスクは相対湿度35%以下及び65%以上で、喉風邪などの呼吸器疾患は相対湿度35%以下で高まります。それらを考えると、室内の湿度環境は35%から65%の相対湿度に調えることが健康にとって有効であるといえます。

日常生活において家で過ごす時間は、年齢や職業によって異なりますが、1日の半分以上は自宅で過ごす人が多いのではないでしょうか?子どもが幼いうちは、もっと長いかもしれません。現在はコロナによって在宅勤務が増え、家で過ごす時間が長くなっているという事情もありますが、1995年から2000年の期間の調査を見ても、15時間程度が平均的な在宅時間です。毎日それだけの時間を過ごす場所の環境が適切に調えられていなければ、家族の健康や快適性は維持できなくなってしまいます。

人間の感覚的な快適性は、一般的に使われている相対湿度という指標よりも、その空気に含まれる水蒸気量である絶対湿度に影響されると言われています。具体的には7g/㎥を下回るとカサカサとした乾燥感を、14g/㎥を上回るとジメジメとした多湿感をおぼえ、不快に感じ始めます。室内環境は温度の管理ばかりでなく、水蒸気量の管理もその快適性に大きく影響を及ぼします。

相対湿度や水蒸気量の管理・調整については、基本性能の確保はエアコンや除湿器/加湿器などの設備機器によるところが大きくなります。その住宅の規模や断熱気密性能に拠った設備機器の選定が、快適性の確保を可能にします。そして補助的な要素として、木材や和紙、湿式壁などの使用材料の調湿性にも注目したい部分になります。また通風や室内干しなどの暮らしの工夫の中で、少しでも湿気をコントロールすることも大切な要素となります。

参考資料 NHK放送文化研究所 2015年国民生活時間調査報告書(54ページ)

湿度の上昇を抑える為に、入浴しない、調理をしない、室内には一切観葉植物を置かないというような生活はできません。毎日お風呂に入り、三度の食事の支度ができて、室内で緑を楽しめる家、地震に対して不安のない家にする為に、木造住宅の湿気対策は新築時の計画が重要です。

 関東地方においては、夏には冷房、冬には暖房をしなくては過ごせない期間も長くなる傾向にあります。したがって、戸建て住宅を新築する際には、温熱環境を調える為、断熱・気密性と冷暖房をセットで考える必要があります。

コラム 新築住宅の寒さ対策 温熱環境を調える断熱・気密と暖房

施工事例

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

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