「平屋はやめたほうがいい」は本当?12の理由と対策|2階建てと迷った時のチェックリストも

「平屋はやめたほうがいい」は本当?12の理由と対策|2階建てと迷った時のチェックリストも

どんなマイホームを建てようか色々な情報を見ると、「平屋は高い・やめたほうがいい」というネガティブな意見を見かけるかもしれません。

しかし、それらの情報は必ずしも正解とは限りません。

そこで今回は、「平屋建て住宅はやめたほうがいい」と言われる12の理由とその対策を建築士が徹底解説します。

平屋と2階建てで迷った場合のチェックリストや人気の1.5階建て住宅についても紹介しますので、これから家を建てる方はぜひ最後までご覧ください。

この記事のポイント
●「平屋はやめたほうがいい」と言われる理由やデメリット・対策を知っておくことで、後悔のないマイホーム計画を実現できます。

● 平屋と2階建て住宅で迷って際には、チェックポイントを押さえて検討しましょう。

● 平屋・2階建て住宅とあわせて、1.5階建て住宅も人気です。

●「蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所」は、“手作りの家”をモットーに埼玉県で高性能な住宅を数多く手がけています。

目次


「平屋はやめたほうがいい」と言われる理由・デメリットとその対策

「平屋はやめたほうがいい」と言われる理由・デメリットとその対策

「平屋はやめたほうがいい」と言われる理由は、2階建て住宅と比べてコスト面・防犯面・生活面において注意が必要という点にあります。

ただしこれらのデメリットは対策をとれば回避できるため、事前にポイントを押さえておきましょう。

2階建てよりも広い土地が必要

日本では建築基準法と都市計画法によって土地に建物をつくれる面積の上限が決まっています。

これを建蔽(けんぺい)率と言います。

住宅用地の大半は建蔽率40〜60%が上限なので、100㎡の土地には40〜60㎡しか家は建てられません。

そのため、同じ延べ床面積の平屋・2階建て住宅を建てる場合、必要となる土地は平屋の方が広くなります。

建蔽率のイメージ
(引用:国土交通省|建築基準法(集団規定)
ポイント
都心部では広い宅地の価格は高く選択肢が少ないため、ゆったりとした平屋を建てたい場合は郊外で土地を探してみましょう。


固定資産税が高くなりがち

2階建てよりも広い土地が必要になる平屋は、住み始めてから毎年納める固定資産税も高くなります。

家屋に課税される固定資産税は経年とともに安くなりますが、土地の固定資産税額は減少せず、むしろ人気のエリアでは地価高騰に伴い上昇するのが原則です。(参考:法務局|経年減価補正率表

そのため、平屋建ては家屋と土地の総固定資産税額は2階建て住宅よりも高くなる可能性が高いでしょう。

ポイント
郊外は都心部よりも地価がリーズナブルなので、固定資産税や都市計画税を抑えられます。

人気のエリアで平屋を建てたい方は、ミニマルな間取りによって家のボリュームを小さくする方法がおすすめです。


建築費が高くなりがち

「平屋は高い」と言われる理由は、建築費にもあります。

平屋は2階建てよりも以下の工事面積が広くなるためです。

  • 屋根工事
  • 屋根(小屋裏)断熱工事
  • 基礎工事
  • 基礎断熱工事

これらの工事には「30〜35万円/㎡」程度かかるケースも珍しくありません。

そのため、仮に延べ床面積100㎡の平屋と総2階建ての建築費用を比較すると1,000万円近くコストに差が生じる可能性もあります。

ポイント
都道府県によって住宅建築費用の平均は異なるため、まずはエリアごとの平均費用を確認しましょう。

平均価格に沿った現実的な予算組みをすることが重要です。

延床面積を決める際は、「誘導居住面積水準」が参考になります。

(参考:国税庁|地域別・構造別の工事費用表(1㎡あたり)令和6年用国土交通省|住宅経済関連データ注文住宅の建築費(首都圏)国土交通省|住生活基本計画における「水準」について|誘導居住面積水準

防犯面で不安がある

平屋の家は全ての居住空間が1階にあるため、侵入経路が2階建てよりも多いことが懸念されます。

警察庁の調べによると、空き巣・泥棒などの侵入経路は55%以上が窓からなので、外からアクセスしやすい窓の多い平屋は2階建てよりも入念な防犯対策が欠かせません。

侵入窃盗犯の侵入経路
(引用:警察庁|住まいる防犯110番
ポイント
最近、関東エリアを中心に一般住宅をターゲットとした組織的な空き巣や強盗事件が増えています。

防犯性の高い平屋を建てたい方は、窓・玄関ドアの仕様や防犯設備、間取りのポイントを押さえることが重要です。

▶︎おすすめコラム:
【家の防犯対策20のポイント】土地選び・開口部・間取り・外構・設備の考え方


動線が長くなりがち

平屋の家は横に空間を並べるため、間取りによっては2階建てよりも動線が長くなる可能性があります。

階段の上り下りは不要でも長い廊下を行き来しなくてはいけない間取りは、バリアフリーの観点からもあまりおすすめできません。

ポイント
平屋建てのプランを検討する際は、「回遊動線」を意識しましょう。

行き止まりの少ない間取りは家事負担を軽減でき、バリアフリー住宅にもおすすめです。

▶︎おすすめコラム:
“小さい家”の間取りポイントを建築士が解説|平屋・2階建てケース別のコツ


収納スペースの確保が大変

2階建ての家は階段下なども収納として使えますが、平屋はワンフロアに居住スペースと収納スペースを確保しなくてはいけません。

また、各部屋に収納を作ると動線が長くなりがちなので注意が必要です。

ポイント
収納スペースをまとめて、効率的に物を出し入れできる間取りにしましょう。

動線が短くできて、造作工事のコストや廊下など補助的空間を最小限に抑えられる点がメリットです。

最近は、ご家族皆様の洋服を1カ所にしまうファミリークローゼットや、防災グッズも収納できるパントリー、アウトドア用品など大きいものもしまえるシューズインクローゼットを取り入れる事例が増えています。

平屋とロフトを組み合わせて小屋裏物置を設けたり、デッドスペースの少ない造作収納を取り入れるプランもおすすめです。

▶︎おすすめコラム:
【注文住宅】造作収納のメリット・デメリットと空間別施工事例


外からの視線が気になる

大きな窓のある開放的な家を要望される方は多いですが、平屋は道路や隣家からの視線が気になる可能性があります。

周囲に2階建て以上の戸建住宅や集合住宅が建っている場合は、上からの視線にも気を配りましょう。

ポイント
開放的で室内の明るい平屋住宅を建てたい方は、道路や隣家から距離を取れる広い敷地を選びましょう。

ゆったりとした敷地を選ぶと、建物の配置や植栽・エクステリア計画の工夫によって外からの視線を遮ることができます。

ウッドデッキなどのアウトドアリビングを作りたい場合も、隣家や道路との距離が快適性に影響します。

▶︎おすすめコラム:
【建築士解説】人気の“アウトドアリビング”は本当に快適なのか?後悔事例とその対策


騒音が気になる

平屋は全ての居住空間と道路との距離が近いため、通行人の話し声や車の音、空調室外機の稼働音が気になる可能性があります。

夜間に寝室で過ごす際に外部の音が気になるという方もいらっしゃるようです。

ポイント
外部からの騒音を軽減する方法は主に3つあります。

●道路など音の発生源から物理的に距離を取る
●寝室などの窓を防音サッシにする
●生垣や植木などで騒音を減衰させる

そのほかにも家の構造を遮音性の高いRC(鉄筋コンクリート造)にする方法もありますが、建築コストは木造の1.5〜2倍程度になるため注意してください。


周辺環境・間取りによっては採光しにくい

周囲にマンションやビルがあると、時間帯によっては家のほとんどが日陰に入ってしまう可能性があります。

また、1階の部屋数が多い平屋住宅は家の中央部まで採光しづらいケースもあるため、間取りや開口の工夫が欠かせません。

ポイント
土地を選ぶ際は、用途地域の種類(何階建てまで建てられるか)や、周囲の建物高さをチェックしましょう。

隣に広めの空き地がある場合は、将来的にマンションが建つ可能性があるため要注意です。
家の奥まで太陽の光を取り込みたい場合は、吹き抜けを作り高い場所にハイサイドライト(高窓)を設置したり、コの字・ロの字型の間取りにして中庭を設けるプランをご検討ください。

▶︎おすすめコラム:
【吹き抜けの窓】メリット・デメリットや大きさ、暑さ・寒さ対策について徹底解説


周辺環境・間取りによっては通風しにくい

周囲の家と近かったり背の高い建物で囲まれていたりすると、採光と同様に通風も確保しにくくなります。

また、たとえ家の敷地にゆとりがあっても、間取りによっては自然の風が通りにくくなる可能性があります。

ポイント
心地よい風が家の中を吹き抜けるマイホームにしたい方は、隣家から距離を取れる広い敷地を選びましょう。

開閉できる窓を部屋の対角線上に設置すると、風が通りやすくなります。
間仕切り壁の少ない開放的な間取りにすると、家の全体で通風を確保できる点もポイントです。


太陽光発電効率が悪い可能性も

平屋建ての家は屋根面積が広いため、太陽光パネルを設置しやすい点がメリットです。

ただし一方で、周囲に日差しを遮る建物や樹木があると発電効率が悪くなる可能性があります。

ポイント
平屋住宅に太陽光発電システムを導入したい場合は、周囲の建物高さや位置(方角)を確認して発電効率が最も良い11〜13時に屋根が日陰にならないか確認しましょう。

敷地に余裕があると、家の配置によって太陽光パネルが日陰に入ることを回避できる可能性があります。


水害による被害を受けやすい

平屋建ての家は生活空間が全て1階にあるため、洪水などの水害を受けるとダメージが大きくなることが懸念されます。

特に以下の特徴に当てはまる土地には注意しましょう。

  • 河川の合流部や川幅が狭くなる場所に近い地域
  • 雨水が地中に浸透しにくいコンクリートやアスファルトで舗装されている都市部
  • 周囲よりも標高が低い地域
  • 過去に内水氾濫(※)が起こっている地域
  • 洪水時に水位上昇しやすい河川の近く

※内水氾濫:降雨量が下水道等の排水能力を超えて、下水道や水路等から雨水が溢れ出す現象。

ポイント
土地を選ぶ際には、必ず過去の水害履歴やリスクの高さを確認しましょう。

国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトでは、自治体ごとに公表している災害リスクを確認できます。


施工事例


平屋住宅にはメリットも

平屋のメリット
施工事例「穏やかな環境で紡ぐ、平屋での豊かな暮らし

「平屋はやめたほうがいい」と言われる一方で、生活を快適・豊かにするメリットもたくさんあります。

  • 階段がないので、バリアフリーの生活を送りやすい
  • 階段がないので、転倒事故や怪我のリスクが少ない
  • 階段がないので、家事動線を短くできて負担を減らせる
  • ミニマルでシンプルな動線を実現しやすい
  • 高さ制限(※)の影響を受けにくいため、天井を高くしやすく外観デザインの自由度が高い
  • ロフトや小屋裏空間、スキップフロアを作りやすい
  • 上階の荷重負荷が小さいため、耐震対策にかかるコストを抑えられる
  • 屋根が広いため、まとまった量の太陽光発電パネルを設置しやすい
  • 外壁や屋根を定期点検しやすい(劣化に気がつきやすい)

※高さ制限:隣地斜線制限(隣地境界線までの距離に応じて建築物の高さを制限)・道路斜線制限(前面道路の幅員に応じて建築物の高さを制限)・日影規制(敷地境界から一定の距離を超える範囲に一定時間以上の日影を生じさせないように建築物の形状を制限)の総称

隣地斜線制限
(引用:さいたま市|建築形態規制の用語解説
道路斜線制限
(引用:さいたま市|建築形態規制の用語解説

▶︎おすすめコラム:
高齢者に優しい平屋住宅|土地・間取り・設備・内装のポイントと事例を紹介
「子育てしやすい家」の間取りポイント25選|事例写真や補助金情報も
【建築士解説】車椅子で生活できるバリアフリーの新築住宅|間取りの工夫と注意点


施工事例


平屋・2階建てで迷った時のチェックリスト

平屋・2階建てで迷った時のチェックリスト
施工事例「光と風と板塀の平屋の家

ここまで平屋建てを建てる際の注意点やメリットについてお話ししましたが、マイホーム計画において「平屋と2階建てのどちらにするか迷っている」という方も多いでしょう。

そこで、平屋と2階建てを選ぶ際のチェックリストを紹介します。

「住みたいエリアで広い土地を買える」

YES▶︎平屋
NO▶︎2階建て

「老後まで自立した生活を送れる家を建てたい」

YES▶︎平屋
NO▶︎2階建て

「家族の気配を感じやすい家にしたい」

YES▶︎平屋
NO▶︎2階建て

「重厚感があり優雅な印象の外観にしたい」

YES▶︎平屋
NO▶︎2階建て

「天井の高い家にしたい」

YES▶︎平屋
NO▶︎2階建て

「柱や間仕切壁の少ない開放的な間取りにしたい」

YES▶︎平屋
NO▶︎2階建て

「駅近や都会で暮らしたい」「広さよりも交通アクセスなどの利便性を優先する」

YES▶︎2階建て
NO▶︎平屋

「家族の間でも個々のプライバシーを重視したい」

YES▶︎2階建て
NO▶︎平屋

「寝室などのプライベートな空間と来客スペースなどパブリックな空間を明確に分けたい」

YES▶︎2階建て
NO▶︎平屋

平屋と2階建てにはそれぞれメリットとデメリットがあります。

マイホームを後悔しないためには、ご自身の家族構成やライフスタイルに合う住宅プランを選ぶことが重要です。

ポイント
蓮見工務店は“工務店+設計事務所”の強みを活かして「手作りの家づくり」と「きめ細かいアフターメンテナンス」、「高いデザイン性」、「高性能な家」をお客様に提供しております。

雑誌掲載事例も多数ありますので、デザイン・間取り・性能の全てにこだわったマイホームを新築したい方は、お気軽にご相談ください。

▶︎おすすめコラム:
〈平屋の家〉メリット・デメリットや2階建てとの比較|メンテナンス・ロフト・増築についても


施工事例



平屋・2階建ての“いいところどり”な1.5階建て住宅も人気

平屋・2階建ての“いいところどり”な1.5階建ても人気
施工事例「大屋根と丸太架構の家

平屋住宅・2階建て住宅のどちらにするか検討している方には、「1.5階建て住宅」もおすすめです。

1.5階建てとは、主な居住空間を1階に配置し、2階に“+アルファ”の空間を設ける住宅スタイルで、準平屋・半平屋と呼ばれることもあります。

  • 平屋にするよりも土地の面積を小さくできる
  • 階段を上り下りする回数を減らせる
  • パブリック/プライベートな空間を分けやすい
  • 吹き抜けを介して上下階を緩やかに繋げられる

このように、1.5階建ての家は平屋・2階建てそれぞれのデメリットを解消できる可能性を持つ住宅です。

マイホームのプランを検討する際は、ぜひ1.5階建ても選択肢に入れてみてください。

▶︎おすすめコラム:
平屋の進化形「1.5階建ての家」メリット・デメリットと間取りポイント


まとめ

和モダン平屋建ての家は蓮見工務店へご相談を
施工事例「穏やかな環境で紡ぐ、平屋での豊かな暮らし

「平屋はやめたほうがいい」と言われることも多いですが、事前にデメリットとその対策を知っておけば後悔のないマイホーム計画を実現できます。

たくさんの事例を見てご自身のイメージと合うデザインを見つけることも重要です。

デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で新築・リノベーションしたい方は、平屋住宅の事例が豊富な「蓮見工務店」にお任せください。

 

施工事例

 

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

詳しいプロフィールはこちら ブログはこちら