2階 リビングのメリットを活かす間取り

2階リビングのメリットを活かす間取り

リビングを2階に設ける間取りには、主にキッチン、洗面所、浴室など水廻りをまとめて2階に配置する間取りと、洗面所や浴室は1階に、キッチンとリビングは2階に配置する間取りがあります。どちらの間取りにもメリットとデメリットがありますが、家族構成や家族の暮らし方によって、その影響が大きい場合も、気にならない場合もあります。

キッチン、洗面所、浴室など水廻りをまとめて2階に配置する間取りは、一般的な2階建ての家の間取りの1階と2階を入れ替えたような間取りです。敷地周辺の環境による問題を解決したい場合に有効な間取りとも言えます。

洗面所や浴室は1階に、キッチンとリビングは2階に配置する間取りの場合は、2階は広々とした空間、1階は細かく分かれている空間の家になるので、構造が安定しやすいという良さがあります。とは言っても、家の間取りの良し悪しは、メリット、デメリットと簡単に振り分けられるものではありません。

家族構成や家族の暮らし方、教育方針、価値観、敷地の広さや形状、敷地周辺の環境によって、メリットにもなりデメリットにもなるからです。そのことを踏まえた上で、具体的に2階リビングのメリットを考えていきましょう。

2階リビングの間取りと室内環境との関係

天窓のある2階リビングの家

天窓のある2階リビングの家

リビングが2階にある家と1階にある家では、室内の環境にはどのような違いがあるのでしょうか?

窓の良さが活きるリビングが生まれる

多くのご家族にとって、リビングは家族の愛情を深める場所、心の底から安心して寛げる空間です。そんなリビングに必要な条件にはどのようなことがあるでしょうか?晴れた日には陽射しが溢れ、気持ち良い風が通り抜けていく、窓からの景観を楽しめるなど、窓からの光や風、空や自然の景色が生活の質を向上させます。

外部からの視線や騒音に煩わされにくく、陽射しも採り入れられる

リビングには陽射しや風を採り入れ、庭の草花や樹木を楽しむため、大きな掃き出し窓を設ける間取りが多く見られます。ただ、1階リビングの場合、周辺の環境によっては通りや隣家からの視線が気になり、プライバシーを確保しにくくなってしまうことがあります。

休日にはアウトドアリビングを楽しむ予定でリビングから続くウッドデッキを設けたが、周りからの視線が気になり、その夢は叶えられなかった…というようなケースもあります。加えて、窓からは、視線以外に騒音も侵入してきます。

一方、2階リビングには、「家族団らんの時間を視線や騒音に煩わされない室内環境」に調えやすいというメリットがあります。ベランダを広くとると、空を楽しむアウトドアリビングが実現します。また、通りからの車の走行音や隣家の車のアイドリング音が、1階にいる時よりは緩和されます。

また、南面で隣家との距離が取れない場合、1階の窓からは陽射しが採り入れられないケースが多くなります。陽射しが恋しくなる秋から春先にかけては太陽高度が低く、陽射しが南側隣家の屋根に遮られてしまいます。そんな敷地でも2階がリビングであれば、十分に陽射しを楽しむことが出来るのです。

■ 窓は暮らしに大きな影響を与えます。多ければ良いというものではありませんが、窓の少ない家は暮らしやすい家なのでしょうか?窓には、陽射しや明るさを採り込む、風を通す、風景を取り込むなどという役割があります。そして、窓の数や位置、方角、サイズ、開閉方法によって、窓が暮らしに与える影響が変わります。窓は少なくするべきなのか、多くするべきなのか、窓が暮らしやすさに対して担う役割と共に考えていきましょう。

コラム 新築住宅には窓の少ない家が多い?窓と暮らしの関係

施工事例

2階リビングの間取りと家族の暮らし方との関係

2階リビングの長期優良住宅

2階リビングの長期優良住宅

2階リビングにすることによって、リビングの使い勝手や帰宅動線など、家族の暮らし方に対して、良い影響も問題点も生まれます。

リビングに物が溢れない

1階にリビングがあり、玄関から直行できる位置である間取りは、子供の行動を把握しやすいとう良さがある一方、リビングに物が溢れるという問題点があります。帰宅した家族が、外出時に着用していたコートや、荷物をリビングに持ち込むからです。

2階リビングで1階に家族の居室がある場合、家族それぞれが自分の部屋に荷物を置いてからリビングに行くという動線を整えやすいので、リビングに物が溢れなくなります。ただ、このメリットは、デメリットを生む要素もあります。

ひとつは水回りを2階に集約した場合、それぞれの居室に行く前に手洗いうがいができる衛生動線がないということです。この問題を解決する為は、玄関の近くにサブ洗面台を設けるなどの工夫が必要です。

家族の行動が来客時に制限されにくい

周辺の環境に合わせて日当たりと風通しを良くする方法には、2階リビング以外に、吹抜けのあるリビングにするという方法があります。この方法をとった場合、日当たりと風通しはもちろん、開放的な空間を持つリビングが生まれ、家族の自然なコミュニケーションが生まれやすいという良さも得られます。

ただ、リビング階段を採用した場合、来客時に家族が玄関に行きにくい、リビングの音が2階に筒抜けになる、2階の子ども部屋の足音が来客時に気になるといった問題点もあります。2階リビングの場合は、居室も玄関も1階にあるので、リビングに来客があっても他の家族は自由に外出できます。帰宅時も来客と顔を合わせずに居室に入れます。

また、子どもがまだ小さいうちは、来客時に2階の子ども部屋からの足音が気になったり、反対に受験勉強をしている子供がいるのに来客が長時間滞在したりすると、子どもの邪魔になったりしてしまいますが、2階リビングであればそのような問題も起こりません。

ただ、制限されにくいということは、反対に家族のコミュニケーションが希薄になる恐れも生み出します。具体的には、子どもの帰宅外出を把握しきれない、来客時に自然にお客様に挨拶する習慣を身につけさせにくいというような問題です。

 間取りと密接な関係がある要素は、家族の暮らし方にあった生活動線と、快適で、家族の健康を守る環境です。それぞれについて具体的に考えていきましょう。

コラム 注文住宅の間取りの決め方は何を基にするべき?

施工事例

2階リビングにする場合には備えておきたいこと

2階リビングの長期優良住宅

2階リビングの長期優良住宅

2階リビングのメリットを活かすためには、2階リビングである為に発生する「暮らし始めてから不便」を生み出さない間取りの工夫が大切です。

家具の搬入やリフォーム時の住宅設備機器の入れ替え作業への対策

家具や大型家電の搬入、またいずれ入れ替える必要が出てくる、システムバスやシステムキッチンの交換時に、階段の造り方によっては非常に苦労することになる恐れがあります。階段の幅や踊り場が狭い、三角形の踏み板がある回り階段であるというような階段です。2階リビングにする場合は、大型の家具や家電、住宅設備機器の入れ替え時にスムーズに作業が進められるような階段の造り方をしておくことが大切です。場合によっては、バルコニーや大型の窓からの搬入ルートも検討しておくと良いかもしれません。

老後の備え

2階リビングは若いうちでも食料品の搬入などは、1階にキッチンがある家より家事負担が大きいです。ただ、その問題は1階にパントリーや重い食料品の一時置きができる収納を設ける、玄関の近くに階段を配置して玄関から2階へのスムーズな動線を作るなどの方法で解決できます。ただ、高齢になり階段の昇り降りが負担になった場合には、それだけでは解決できません。

その時に備えて、数十年にはエレベーターに変えることを想定した収納スペースなどを設けておくことも考えておくと良いのではないでしょうか?あらかじめ、上下階の同じ位置に、エレベーターを設置するの必要な寸法と構造強度を確保した設えをしておけば安心です。

家族のコミュニケーションに対する考え方

子供たちはすでに成長しており、躾の時期は終わっているという場合には、2階リビングは家族のコミュニケーションに対して、悪影響はありません。ただ、まだ成長期の子どもがいる場合、2階リビングは、親が子供の行動を把握しにくい、来客へのマナーが身につきにくいという環境を生み出してしまう恐れがあります。

帰宅して手洗いうがいをし、荷物を部屋に置いた後は、2階に上がってただいまの挨拶をしてから、再度1階に降りて宿題をするというような流れを作りやすい間取りや、2階にいても家族の行動が把握しやすいプランにするなど、家族の教育方針やコミュニケーションの望ましい取り方に沿った間取りにすることも考える必要があります。

1階の寝室や子ども部屋への騒音

隣家は夜遅く車で帰宅することが多いというような環境にある場合、1階に寝室があると、睡眠を妨害される恐れがあります。近隣に騒がしい商業施設があるというような環境では、子どもが勉強に集中しにくくなる恐れがあります。

早く就寝する幼い子供や高齢者がいる場合には、遅く帰宅した家族がたてる物音で、睡眠を妨げてしまうこともあるかもしれません。

2階リビングを計画する場合、密集した住宅地におこりやすい「日当たりもプライバシーも確保しにくい」という問題を回避するための策であるケースは少なくありません。そのような場合には、騒音問題についても対策を考えておく必要があります。

夜間に外部の音が入りやすい位置には寝室を配置しない、子どもの勉強時間に外部の音が入りやすい位置には子ども部屋を配置しない、早寝の家族の寝室の位置に配慮するなどの間取りや、防音、遮音機能を窓やリビングの床に持たせるなどの対策が必要です。

施工事例

2階リビングを暮らしやすい家にするポイント

天窓のある2階リビングの家

敷地周辺の環境と家族の暮らし方を考えあわせた上で、2階リビングにした場合の暮らしを現在だけではなく、数年後、数十年後のことも含めて具体的に想像してみましょう。2階リビングにすることによって解決する問題と、発生する問題を比べてみることも大切です。

その結果、十分な対策をすれば、2階リビングにした方が暮らしやすい家になると判断した場合には2階にリビングを、デメリットの方が多いと感じた場合には、吹き抜けやスキップフロアで問題点を解決するという方向に考えを変えてみても良いのではないでしょうか?

施工を依頼する工務店と十分に相談し、あらゆるシチュエーションを想定して暮らしやすい家を実現しましょう。

 リビングに階段を設けるリビング階段と吹き抜けの組み合わせは、開放的で洗練された空間が生まれるので人気の高い間取りです。その一方、リビング階段のある家にして失敗した、後悔していると感じているケースもあるようです。リビング階段のある間取りにして良かったと思えるケースにする為には、どのようなことに注意したらよいのでしょうか?

コラム リビング階段のある間取りは吹き抜けと組み合わせると後悔する?

施工事例

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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