吹き抜けがあっても寒くない家を建てたい

吹き抜けのある家

開放的で、洒落た空間を演出する吹き抜けを設けたリビングは、人気の高いリビングの造り方です。ただ、新築した友人宅に遊びに行ったところ、吹き抜けのあるリビングで、寒さを感じたという経験を持つ人もいます。トップライトやハイサイドライトとの組み合わせで、夏の暑さが耐えられないというケースもあります。

吹き抜けがあっても、最小限の冷暖房で、夏は涼しく、冬は暖かい家にするためには、どのような点に注意しなくてはならないのでしょうか?

吹き抜けがあっても寒くない家に必要な住宅の性能 高断熱・高気密

吹き抜けのある玄関ホール

屋根組と開放的ホールが特徴の家

冷暖房をしても、十分に効果が出ない家に、吹き抜けを設けると、寒く暑い家になってしまいます。吹き抜けがあっても、最小限の冷暖房で、快適な室温を維持するためには、高断熱・高気密という住宅性能が求められます。では、高断熱・高気密とは、どのような性能でしょうか?

高断熱の家とは、外気に触れる屋根や壁、床など、家の外側の部分(外皮)からの熱の出入りの割合が少ない家です。家の中から流出していく暖房の熱の割合は、外皮平均熱貫流率(UA値)、家の中に流入してくる太陽の熱の割合は、平均日射熱取得率(ηAC) で表されます。高気密の家とは、家の外皮の隙間から屋外へと逃げていく熱を、少なくするように造られている家で、気密性能は相当隙間面積(C値)で表します。

埼玉県の多くの地域が該当する地域区分の6地域においてのZEH基準では、外皮熱貫流率UA値=0.6W/㎡K以下となっていますが、もし、UA値=0.6W/㎡K以下であったとしても、気密性が十分でなければ、十分な断熱性は得られません。

ZEH基準の断熱性は、国が定めた断熱等級の最高位である等級4(UA値=0.87W/㎡K)の断熱性よりも、3割ほど高い基準ですが、この0.6W/㎡K以下というUA値も決して十分な数値ではありません。また、平均日射熱取得率や気密性とのバランスによっても、温熱性能は変わってきます。

ここで、もう一つの考え方で表す、温熱性能の基準についても確認しておきましょう。

ZEHは、エネルギーを創ったり、エネルギー消費量を管理したりすることによって、住宅のエネルギーの消費量を、できる限り減らすという考え方に基づく家です。具体的には、電気製品の使用や冷暖房、給湯の為に、家庭で消費するエネルギーと、太陽光発電などによって、家庭で創り出すエネルギーの量を0、またはそれ以上にできる家です。

一方、HEAT20は、省エネ住宅やZEHとは、異なる考え方の断熱基準です。室内環境はどうあるべきかという観点から、エネルギー消費を抑えつつ、快適な室内環境を維持できる性能に対する基準が、G1グレード、G2グレード、G3グレードという3つに分けて示されています。

6地域においては、冬期に室内の温度環境はG1グレード=概ね10℃を下回らない、UA値=0.56 W/㎡K、冷暖房の省エネ性能(冷暖房負荷)は断熱等級4の家に比べて30%削減、G2グレード=概ね13℃を下回らない、UA値=0,46W/㎡K、冷暖房負荷は等級4の家に比べて50%削減、G3グレード=概ね15℃を下回らない、UA値=0.26W/㎡K、冷暖房負荷は等級4の家に比べて75%削減となっています。

吹き抜けがあっても寒くない家にするためには、HEAT20 G2グレードの性能を標準とし、予算に余裕があれば、 G3グレードを目指すことが求められます。

吹き抜けがあっても寒くない家に必要な住宅の間取りと暖房の方法

室温には、間取りと暖房の方法も大きく影響します。高断熱、高気密の家には、暖房をしている場所と、暖房をしていない場所の温度差が小さくなる、という良さがあります。この良さをより活かし、消費エネルギーを抑えるためには、家の中の空間が、できる限り繋がっていることが求められます。

断熱性、気密性が低い家、居室が細かく区切られていて、暖房の熱が家中に拡がらない間取りの家に、吹き抜けを造ると寒い理由は、縦に拡がった空間のせいで、暖房による軽くて暖かい空気が上方に拡散してしまうからです。一方、高断熱・高気密の家では、家の中の空間が繋がっていればいるほど、少ない数の冷暖房機器で、家中の温熱環境が調います。断熱性の低い家では、室内の快適性を損なう吹き抜けが、高断熱・高気密の家では、より快適な室内環境を調え、エネルギーの消費量を抑えることに繋がるのです。

とはいえ、どれだけ高断熱・高気密にしても、暖かい空気が軽くなることに変わりはないので、どうしても室内で多少の上下温度差が発生してしまうのは避けられません。ですので、床暖房や床下エアコンなどの、なるべく低い位置からの暖房計画が快適性にとって、とても有効になります。

吹き抜けの魅力

モダン和風の家の吹き抜け

採光を工夫したモダン和風の家

インテリア雑誌などに掲載されているリビングの写真を見た時に、吹き抜けがあるリビングは素敵だなあ…と思う人は多いのではないでしょうか?確かに吹き抜けには、視覚的な良さがあります。ただし、吹き抜けの良さはそれだけではありません。暮らしを快適にするたくさんの魅力があります。

敷地周辺の環境に左右されずに陽射しを採りこめ、プライバシーを確保しやすい

南側に隣家やマンションがある、交通量の多い道路に面しているといった敷地の場合、吹抜けをつくれば、1階の南側の窓からの日射が期待できなくても、2階の窓や屋根のトップライトから陽射しを採りこめます。その場合、夏の日射熱浸入への対策は必須になります。ガラスの適切な選択や、外部ブラインドやアウターシェードの開閉の為のキャットウォークの設置など、事前にしっかりと検討しておかないとなりません。

風通しが良くなる

吹き抜けがあると、1階の窓から2階の窓へと風が通りぬけていくので、換気の良い環境が創られます。

家族の気配が感じられる

1階と2階の空間が繋がっているので、家族の気配が感じられ、コミュニケーションがとりやすくなります。

土地選びの自由度が上がる

住宅地では、南側が開けている敷地、という前提で土地探しを進めると、土地の価格が高額になってしまう傾向があります。高額になっても良いと考えても、希望する地域では、南側が開けた土地が見つからない場合もあります。

次善の策として、吹き抜けを造ることで、南側が開けた土地にこだわる必要がなくなり、土地選びの自由度を拡げるという選択肢もあります。

吹き抜けを造るために、住宅を高断熱・高気密にしようと計画すると、一般的な断熱性能の家より、建築費が嵩みます。しかし、南側の条件が多少厳しくても良ければ、土地の価格を抑えることができるかもしれません。

後悔しない吹き抜けのある家にする為に考えておかなくてはならないこと

リビングの吹き抜け

南側大開口とリビング吹抜の家

吹き抜けにはたくさんの魅力がありますが、暮らしにくさを生んでしまう場合もあります。吹き抜けのある家を計画する際に考えておくべきことにはどのようなことがあるでしょうか?

高断熱・高気密の家にする為の建築費と、暮らし始めてからの光熱費、数十年経ってから断熱リフォームをする場合の費用を比較する

もし、一般的な断熱性能の家に吹き抜けを造った場合、寒さを感じないようにするためには、相当な光熱費が発生します。断熱性の高さによって、建築費も暮らし始めてからの光熱費も変わってきます。ここまで断熱性能を良くすると、建築費がこのくらい上がって、光熱費がこのくらいに抑えられる…というように、具体的にシミュレーションしてみることが大切です。設計者や工務店など家づくりのプロに、計画中のお住まいの冷暖房負荷を算出してもらうようにお願いしてみましょう。

例えば、断熱性の低い家と、高断熱・高気密の家の冷暖房にかかる費用を比較すると、設備計画や性能差によっては、年間で10万円ちかくの差が出る場合もあります。仮に建築費が、およそ一坪当たり3~5万円上がったとしたとしても、20~30年後には、建築費が高くなった分を解消できるのです。高血圧の解消や免疫機能の向上など、室内環境の向上による医療費の削減も考慮すると、元がとれる時期はもっと早くなります。またもし、築後数十年経ってから、高断熱・高気密の家にリフォームするとなると、新築時に高断熱・高気密にするために上がった建築費より、はるかに高額な費用がかかることになります。

限られた敷地条件で日射を取得したり、室内の空気を行き渡らせる為に、吹抜けはとても有効な手段です。一方で快適性を確保するための断熱性能や冷暖房設備にはお金がかかります。イニシャルコストとランニングコストをしっかりと把握し、トータルコストで計画を判断することが大切になります。

耐震性能を高める

吹き抜けのある家は、吹き抜けのない家に比べると、床がない部分の面積が多くなる関係で、耐震強度を高めるには不利になりがちです。ですので、構造計画をしっかりと検討し適切な耐震性能を確保する必要があります。反対に考えると、耐震性能を低下させない為に、思い描いたような開放的な吹き抜けではない残念な吹き抜けになってしまうこともあります。吹き抜けのある間取りにする場合は、構造計算を基に設計された、確実な耐震性能を備えた家にすることが大切です。

2階の床面積が減る

吹き抜けを造ると、2階の床面積が減ってしまいます。敷地面積から考えて、吹き抜けを造っても、家族構成に対して十分な居住面積を確保できることを、確認しておくことが大切です。

トップライトと組み合わせた場合には、日射遮蔽対策をする

トップライトの設置は、確実に夏場の室温を上昇させますので、どうしても必要な明るさが確保できないなどの場合限定と考えた方が良いでしょう。採用に際しては、北向きの屋根に設ける、トップライト用のブラインドをつける、遮熱機能のあるLow-Eガラスの窓にするなどの対策が必要です。

■ ■ ■

吹き抜けのある家にする場合には、イメージの良さだけに捉われず、吹き抜けがあっても快適な室内環境が調えられることに配慮して、計画を進めることが大切です。

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

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