〈“シックハウス症候群”対策〉住まいの新築・リノベーションで注意すべきポイントは?

シックハウス症候群の対策は

本来、自宅は心からリラックスできる場所ですが、残念ながら家の中にいると体調が悪くなってしまう方がいます。

その原因が、「シックハウス症候群」。

では、この病気は何が原因で、どのような対策を取れば良いのでしょうか?

今回は、シックハウス症候群の原因と住まいの工夫による対策方法についてお話しします。

健康的で快適なマイホームを建てたい方・リノベーションしたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント
・シックハウス症候群は、化学物質・有機物質・湿度環境・生活環境の要因によって引き起こされる可能性があります。
・化学物質をできるだけ含まない建築材料を用いて、換気によって室内の空気汚染を防ぐことが重要です。
・私たち“蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所”は、「手作りの家づくり」をモットーに、設計事務所として培ったデザイン性力と技術力を活かして、高性能な住まいを提供しております。




目次





シックハウス症候群とは?原因は何?

シックハウス症候群の原因とは?
(事例の詳細はこちらから)

シックハウス症候群の歴史はそれほど長くなく、1970年代に遡ります。

アメリカを中心に、オフィスビルで働く人の中で原因不明の体調不良を訴えた人が急増。

省エネ対策としてビルの換気量を抑えたことによって、化学物質が室内に滞留してしまったことが原因でした。

ビル内にいる人が頭痛や吐き気などを引き起こすことを「シックビル症候群」と呼ぶようになったのです。

日本で室内の体調不良を訴える人が増えたのは、1990年代に入ってからのこと。

本来、日本の古い住宅は通気性を重視して“隙間”のある造りとなっていましたが、徐々に気密性が高まり、さらに化学物質を含む建築材料を使うようになったため、国内でも発症者が増えてきたのです。

日本では1990年代の後半に、省エネルギー化に向けた換気量の削減により、新築(あるいは改築)工事に伴って、建材や接着剤・塗料などから放散されるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物の濃度が高い住宅において、一時的に健康障害を起こし、「シックハウス症候群」が全国的に大きな社会問題となりました。

(引用:厚生労働省|科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル


日本では、ビルだけではなく住宅で症状を訴える人が多かったため、「シックハウス症候群」と呼ばれるようになりました。

室内の空気汚染によって体調不良をもたらすものの、室外に出ると改善されることが多い点が特徴です。

シックハウス症候群の症状
(引用:厚生労働省|科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル


では、主な発症原因を見てみましょう。

シックハウス症候群をもたらす要因は、主に「化学的な要因」「有機的な要因」「物理的な要因」「生活習慣による要因」に分けられます。

「化学的な要因」

  • 接着剤・塗料・殺菌剤・防虫剤・防腐剤・合成樹脂などに含まれる揮発性化学物質

例)ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、トルエン、その他VOC(揮発性有機化合物)

「有機的な要因」

  • 細菌や害虫、動物の成分など、生物に関わる物質

例)MVOC(微生物由来揮発性有機化合物)、ダニ、真菌(カビ)、ゴキブリ、家の中で飼うイヌ、ネコ、ラットなどのげっ歯類の毛・フケ

「物理的な要因」

  • 高湿度による結露(ダニ・カビ、微生物の活性化)
  • 高湿度による建物構造部からのヘキサノールなど刺激性化学物質の放出

「生活習慣による要因」

  • 喫煙(受動喫煙含む)によるニコチン・タールの摂取
  • 睡眠不足・ストレス過多(直接的な要因ではないものの、発症リスクが高まる)


〈参考ページ〉

厚生労働省|科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル

メモ
似た健康被害として「化学物質過敏症」があり、シックハウス症候群と混同されますが、症状は自律神経系の不定愁訴や精神神経症状が中心です。
一方、シックハウス症候群でも頭痛や疲労感などの精神神経症状のでる方も多いですが、主に鼻や喉・呼吸器・眼など粘膜への刺激症状や皮膚症状が主です。



建築基準法の改正によって発症件数が減ったって本当?

建築基準法改正とシックハウス症候群の関係
(事例の詳細はこちらから)

1990年代から日本でもシックハウス症候群が社会的な問題とされたことをきっかけに、2003年に建築基準法の大きな改正が行われました。

これが、いわゆる「シックハウス対策」。

建築基準法・建築基準法施行令の改正点・追加点は以下の通りです。


ポイント
建築基準法・建築基準法施行令の改正によって、「常時換気(24時間換気)の設置義務化」や「指定化学物質の使用量制限」が定められ、公共施設だけではなく住宅もその対象となりました。


改正によって、シックハウス症候群の発症件数は減少しましたが、残念ながら根絶されることがありませんでした。

なぜなら、法で定めた常時換気量は、最低量であり、使用制限がかかった化学物質も、シックハウス症候群の原因物質のうちの代表的なものだけだからです。

そのため、過敏に反応してしまう方ですと、建築基準法の水準をクリアした住宅であっても、発症リスクがゼロになる訳ではありません。




〈新築・リノベーション〉シックハウス症候群の発症を防ぐ住まいの工夫とは?おすすめ設備がある?

和風な外観の平屋
(事例の詳細はこちらから)

シックハウス症候群は室内にいる時のみ発症することからも分かる通り、家の仕上げや設備が大きく影響します。

そのため、新築住宅はもちろん、既存住宅のリノベーションにおいても、いくつかのポイントを押さえるだけで、健康被害のリスクをかなり低減できるのです。

では、それぞれポイントを詳しく見てみましょう。

原因物質を含まない建材・内装材の採用

住宅の下地材・仕上げ材の多くには、シックハウス症候群の原因物質が含まれている可能性があります。

ただし、建築基準法で使用量が制限されているホルムアルデヒドやクロルピリホスについては、各メーカーは使用をかなり控えているため、多くの人は特に症状が現れず、あまり気にしていないかもしれません。

しかし、小さなお子さんやアレルギー体質の方ですと、微量でも発症してしまいます。

また、法規制を受けてない物質に反応してしまう方も少なくありません。

そのため、できるだけシックハウスの原因物質全てを含まない建材・内装材を選びましょう。

おすすめは、無垢材から作られた羽目板材やフローリング材です。

そのほかにも、珪藻土・漆喰などの自然素材にこだわると、原因物質の使用を最小限に抑えられます。

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24時間換気の徹底

現在では、建築基準によって、住宅の場合も常時換気(24時間換気)の設置が義務付けられています。

定められている換気回数は「0.5(住宅等の居室)」で、これは2時間で室内の空気が全て入れ替わる程度の換気能力です。

ただし、あくまでも最低基準ですし、自然給排気口や換気扇だけでは、閉めてしまったり電源をつけ忘れれば換気不足になってしまいます。

また、建築基準法改正以前に建てられた既存住宅へは、そもそも常時換気の導入義務はないため、換気設備が整っていない可能性が高いでしょう。

常に室内を新鮮な空気で満たすためには、やはり自動的に機械管理で換気が行われる「第一種換気方式」がおすすめです。

(引用:Panasonic|24時間換気システム 戸建住宅用


換気システムと併せておすすめなのが、「イオン発生器」。

代表的なものが、「Panasonic・天井埋込形ナノイー発生機“エアイー”」です。

イオンの力で、菌・ウイルス、カビ、アレル物質を抑制します。

十分な換気設備を整えた上で、このようなオプション設備の導入もご検討ください。



適切な温度・湿度環境の整備

温度と湿度を適切な状態に保つことで、ダニ・カビの発生を抑えられます。

一般的には、ダニの好む環境は「温度20〜30℃・湿度60%以上」で、カビは「温度20〜35℃・湿度80%以上」の条件が揃うと、活発になると言われています。

ポイントは、ズバリ高湿度の状態にしないこと。

ダニ・カビなどの繁殖を引き起こさないだけではなく、木造住宅においては柱・土台など構造部の腐朽・シロアリ被害も防げます。

湿度が上がるのを防ぐのに最も有効的なのが、断熱性を高める方法です。

室内外で温度が出入りするのを妨げることで、結露を防止できます。

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施工事例



“自然素材”にこだわる場合もアレルゲン物質には注意!

自然素材にこだわる場合はアレルゲン物質に注意
(事例の詳細はこちらから)

シックハウス症候群の原因物質を除去するのに最も確実な方法が、“自然素材”にこだわることです。

内装材はもちろん、構造体や断熱材などに自然由来の材料を使いたいという方も多いでしょう。

たしかに、自然素材から作られた建材には、健康被害をもたらす化学物質がほとんど含まれていないため、シックハウス症候群の対策としては有効です。

ただし、気をつけなくてはいけないのが、自然素材そのものにアレルギー反応を起こさないかという点。

建材によってはアレル物質を放出しやすいものもありますので、住宅へ用いる前に、必ずショールームへ訪れるなどして現物を確認し、体調不良を引き起こさないか確認してください。

「無垢材」

杉や桧(ひのき)、松、ケヤキ、ラワンなどの天然木材にアレルギー反応を示す方がいます。

「珪藻土」

塗り壁材として使われる珪藻土は、単体で硬化することができません。

そのため、硬化剤や化学樹脂が含まれているものもあるため、これらに反応して体調不良を引き起こす可能性があります。

「柿渋」

柿渋に多く含まれるタンニンは、ホルムアルデヒドを吸着するという説があり、シックハウス症候群対策として用いる方もいます。

ただし、湿度が高いとカビが生えやすいため、それが原因で体調不良を引き起こす可能性があります。

「蜜蝋」

主に床のワックス材として使われますが、蜜蝋に含まれるプロポリスなどにアレルギー反応を示す方もいます。

「植物性オイル」

建築に使われる植物性オイルは、漆(うるし)や亜麻仁油、米ヌカなど、多種多様な原料から作られます。

そのうちのどれかにアレルギー反応を起こしてしまう方もいますので、心配な方は。事前に医療機関でパッチテストを行うことをおすすめします。


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施工事例




“健康に暮らせる”マイホームづくりは実績のある工務店・設計事務所に

マイホームづくりは実績のある建築会社へご相談を
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長寿命で高耐久な構造計画、動線に考慮した間取り、温もりや居心地の良さを感じられる内装デザイン、その全てを兼ね備えた住宅づくりは、設計事務所の設計力だけでも工務店の施工力だけでも叶いません。

また、住まい手の健康を維持するためには、材料選びや設備など総合的な検討が必要です。

後悔のない家づくりを実現させたい方は、知識と経験を持ち合わせている会社に相談するのがベストです。

「長く安心して住み続けられる住宅にしたい」という方は、丁寧に要望に耳を傾け、専門的な知識を踏まえたプランを提案してくれる設計者や施工会社に相談しましょう。

私たち蓮見工務店は、設計事務所としての経験や知識を踏まえ、お客様に心から安心していただける住まいづくりを徹底しております。

また、常に最新技術にも目を向け、その時に出来うる限りのご提案をさせていただきます。

私たちが“年間限定6棟宣言”をしているのは、お客様ひとりひとりと真正面に向き合っていたいから。

デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で建てたい方・リフォームしたい方は、ぜひ「蓮見工務店」までお問合せください。


施工事例





蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、そして設計事務所として培ってきたデザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 

「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築をご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、木にしか出せない香り、温かみのある手触り」や「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、パッシブデザインの良さ」を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。





監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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