2,000万円台で建てる注文住宅は理想の家になる?

家づくり計画を始めると、内装や間取り、外観デザインなどに向けて夢が広がります。その夢をどこまで実現できるかということは、家づくりにかけられる費用によって変わってきます。家を建てた後にも、ゆとりのある暮らしができる家づくりの費用とは、どの程度なのでしょうか?また、一般的に、家づくりには、どの程度の費用がかけられているでしょうか?そもそも2,000万円台で、家族の理想の家は実現するのでしょうか?

平均的な建築費・床面積と理想の床面積

近年の傾向として、家を所有している人は昭和から現在まで増え続けていますが、新築戸建て住宅の延べ床面積は、平成20年以降、わずかながら縮小し続けています。全国的にみると、土地の価格も建築費も、上昇し続けている一方、収入は減少し続けているからなのでしょう。土地の価格は下降気味だったのですが、平成25年以降、徐々に上昇しています。平成初期に比べれば、土地の価格が下降しているとはいっても、決して低価格で土地が購入できるということではありません。平成30年度の建築費の相場は、3,558万円、この価格に加えて土地を購入しなくてはなりません。

一方、平成30年度の平均的な延べ床面積は116,9㎡でした。理想的な床面積の基準として、国が示している一般型誘導居住面積水準は、2人以上の世帯25m2×世帯人数+25m2となっています。例えば夫婦と子供2人の家族が、心地よく暮らせる家には、125㎡とい広さが必要であるということです。この基準では、未就学児童がいる場合、112,5㎡となっていますが、家を建ててからの期間で、子供が5歳までの期間はごくわずかです。したがって、家を建てる時には子供が小さくても、大人一人分として考えるべきでしょう。

この数字の違いから見ると、相場である3,558万円をかけても、4人家族であれば、一般型誘導居住面積水準に満たない家しか手に入れられないことになるのでしょうか?

参考サイト 国土交通省 平成30年度 住宅経済関連データ 住宅整備の現状
参考資料 住生活基本計画における「水準」について

 

3,558万円かけないと住宅の性能が落ちる?

土地を購入し、平均的な建築費である3,558万円を使って家づくりをすると、家が建ってからの生活が圧迫されそうだと不安を感じる人は少なくありません。住宅ローンの返済が大変で、毎日の暮らしを楽しめなくなってしまったとしたら、どんなに良い家が建っても、幸せな家族ではなくなってしまうからです。

一方、平均的な建築費をかけなかった場合、住宅性能が落ちるのではないか?と不安に感じる人もいるはずです。ここが注文住宅の強みであり、難しさでもあります。建売住宅や規格住宅では、あらかじめ住宅の性能が決められていますが、注文住宅では、耐震性や断熱性の高さを自由に決められるからです。

耐震基準に関しては、建築基準法において、最低基準が定められていますが、断熱性と気密性に関しては、国が定めた基準はあるものの、法的には定められていません。そして、建築基準法では、2階建てまでの木造住宅には、耐震に関する規定で簡易的な計算法による計算は義務づけていますが、精度の高い構造計算の義務付けは有りません。最低基準の耐震性では不安があります。

したがって、注文住宅の家づくりでは、家族の命と財産、安全を守れる家にする耐震性、夏涼しく冬暖かい家にする断熱性と気密性を、どの程度の高さにするかということは、自分たちで決めるということになるのです。

耐震や、断熱・気密性能を、数字だけで計ることはできませんが、目安となるのは、耐震性においては国が定めている基準です。耐震等級の最高等級である等級3がそれにあたります。一方、断熱性能については最高等級である省エネ等級4を備えていても、決して十分とはいえません。近々等級5が規定される予定との話も聞きます。現段階では民間の指標であるHEAT20のG2の性能が目安になるかと思います。耐震等級3でG2の性能を有する家なら、大地震が発生しても安全な家、夏涼しく冬暖かい快適な家が実現できます。

参考資料 国土交通省 省エネ基準の見直し等に伴う改正
参考資料 新築住宅の住宅性能表示制度 住宅性能表示制度ガイド

では、3,558万円かけないと、この性能を備えることはできないのでしょうか?そんなことはありません。地震の多い日本において、耐震は必要不可欠です。また、四季の変化に応じて、適切な室温を維持させる断熱性は、快適さだけではなく、家族の健康を守り、電気やガスにかかる費用を抑える重要な性能です。この2つは、住宅の基本と言っても過言ではありません。そして、2,000万円台で家を建てるとしても、この2つの性能を備えることは、不可能ではありません。

例えば、耐震の方法にも、耐震基準を3にする場合と、耐震基準に変わるものとして認められている免震装置や断震装置をつける場合では、費用が変わってきます。免震装置を採り入れると、耐震基準を3にするよりも、費用が嵩みます。予算内で、高い耐震性を備えられる方法を選ぶことが大切です。

また、断熱に関しても、熱の出入りが最も大きい窓は、断熱に大きな影響を与えますが、最も高価であり、断熱効果の高い樹脂サッシとLow-Eトリプルガラスの窓にしなくても、HEAT20のG2は実現可能です。また、自然のエネルギーを利用するパッシブデザインを採り入れることで、より省エネ性と快適性を高められます。冬は窓からの暖かい陽射しを採り入れ、夏は深い軒と落葉樹で日射を遮蔽する、窓の位置を計算し、風を通し、室内の熱を排出するなどが、室内環境をより良くします。注文住宅の場合、予算内でどのように予算を配分するかということが重要課題ですが、2,000万円台の建築費用であっても、構造計算も含めて、住宅性能にかける費用は十分に捻出できます。

建築費を抑える為の考え方

住宅性能に使う費用は最優先ですが、その他の部分の優先順位も考えていきましょう。家は長く住む所なので、30年先、50年先のことを考えてみると、家づくりの優先順位が見えてきます。その中で、長期間に渡って、暮らしやすさを維持できる間取りは優先順位が高い項目ではないでしょうか?現在は子育て中のご家族が多いと思いますが、子育て中には、子供の成長に伴って暮らしやすい間取りが日々変化し、子供が独立していくまで続きます。下の子供が生まれ家族が増える、子供が年頃になり、それぞれの子供部屋が必要になる、子供が大学を卒業し、独立していくというような大きな変化もおきます。家を建てたご夫婦にも、現役からの引退、伴侶を失う、高齢になるなどの変化がおきる日がやってきます。

その時々に、簡単なリフォームや家具の配置換えで、暮らしやすい間取りに変更できる家は、ライフステージの変化に対応する家です。その為には、部屋が細かく区切られていない間取りが向いています。部屋が細かく区切られていない間取りは、シンプルな造りなので、建築費が抑えられます。収納も細かい収納をあちこちに造らず、「家族の動線と、収納するものの量に合わせた使い勝手の良い大型の収納」を造ることで、自然に片付く家になり、建築費も抑えられます。

内装に使う建材は、自然素材を使いたいというご家族が多いと思います。自然素材は、調湿性や蓄熱性、弾力性などの性質によって、室内環境を快適に調えてくれるからです。子供のアレルギー発症の心配もありません。この自然素材の選び方でも、建築費は大きく変わります。特に木材は、樹種によって価格の幅が大きいからです。自然素材の中から、予算に合う素材を選ぶことが大切です。

10~15年後には交換することになる住宅設備機器などに関しては、最高級のグレードのするのは抑え、標準仕様を選ぶと、水廻り全体でかなり節約できます。キッチン、浴室、洗面所、トイレは毎日使う場所であり、最も清潔にしておきたい場所です。特に料理にこだわる人は、高級システムキッチンに魅かれるでしょうし、お風呂が趣味という人は、ジェットバスやミストシャワーをつけたいでしょう。

でも、その贅沢は交換の時まで待つという考え方をすると、建築費が節約できます。住宅ローンが終わっていれば、余裕を持って交換できるでしょう。

■ ■ ■

ここに挙げた考え方はほんの一例です。予算の配分は、家族それぞれの事情によって、最適な優先順位が変わってきます。住宅性能は第一と考え、それ以外の項目については、家族の暮らし方と価値観に合わせて、予算をつぎ込む優先順位を考えていくことが、予算内で理想の家を建てることに繋がります。

2,000万円台で実現した理想の家

耐震、断熱はもちろん、自然素材を使い、パッシブデザインを採り入れた住宅です。

中庭デッキをLDKに取込んだ家

中庭デッキをLDKに取込んだ家

家族構成:夫婦+子供3人
建築面積 :106.09平米
延床面積 :115.73平米

洗出し土間とスキップフロアの家

家族構成:夫婦+子供1人
建築面積 :83.17平米
延床面積 :120.03平米

公園に面した開放的プランの家

公園に面した開放的プランの注文住宅

家族構成:夫婦+子供2人
建築面積 :89.79平米
延床面積 :114.85平米

この他にもたくさんの事例がございます。ぜひご覧ください。作品紹介

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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