パッシブデザインとは自然の恵みを活かす家づくり

パッシブデザインとは自然の恵みを活かす家づくり

暮らしやすい家が備えるべき要素には、家族構成と家族の暮らし方にあった間取り、家族の安全を守る耐震・耐久性能、家族の好みに合った外観や内装のデザイン、快適な室内環境などが挙げられます。この中にある快適な室内環境を、太陽の光や熱、風などの「自然の恵みを活かして調える」という考え方に基づく設計の手法がパッシブデザインです。

季節に応じた快適な室温や室内の明るさを調える事で、夏は涼しく冬は暖かい温熱環境、明るく衛生的な空間を生み、居心地の良い室内環境が提供されます。太陽の光と熱、風などの自然エネルギーを利用し、小さなエネルギー消費で快適な住環境を実現するパッシブデザインとは、具体的にどのような家づくりなのでしょうか?

パッシブデザインと断熱・気密性の関係

パッシブデザインは自然のエネルギーを活用する家づくりですが、太陽から得た熱を十分に活かす為の性能も必要です。その性能とは断熱性と気密性です。せっかく心地よい太陽の暖かさを採り込んだとしても、その熱がどんどん外に逃げてしまうようでは、暖かさを保つことが出来ません。採り込んだ熱を家の中に留めておく為には、断熱性と気密性を調えることが大切なのです。

窓を通して採り入れられる太陽の熱エネルギーの量は、エアコンなどの暖房設備にくらべると、それほど大きなものではありません。冬場の正午ごろに1㎡の窓面に当たる日射の熱エネルギーは330wになります。ガラスの反射などを考慮すると、200w程度の熱エネルギーが室内に入ってきます。

一方、6畳用の一般的なエアコンが定格運転したときに得られる熱が2,500wで、電気ストーブの強運転が1,000Wですので、日射による熱エネルギーが決して大きくない事は想像できるかと思います。ただ、その暖かさは自然の恵みであり、無償で得られるものなのです。

また陽差しの暖かさは輻射熱といって、遠赤外線によるほんわかとした優しい暖かさです。その無償でとても心地良い暖かさをなるべく長い時間にわたり享受する為に、断熱性と気密性の確保がとても重要なのです。費用対効果の目安として、断熱性能はHEAT20のG2(Ⅵ地域でUA値0.46=断熱等級6)、気密性能はC値0.7±0.2のレベルの確保が望ましいとされています。

「省エネで快適な生活を実現するらしいけれど、高気密・高断熱住宅とは具体的にどんな家なのだろう?」メリットは多そうだが、デメリットはないのだろうか?光熱費は節約できるのか?湿度対策はどうするのか?などの疑問を解決しましょう。

コラム 高気密・高断熱住宅とは?結露や夏の暑さは大丈夫?

参考サイト 断熱住宅.COM そもそも、高断熱高気密住宅ってどんなもの?

施工事例

パッシブデザインと自然エネルギー太陽の熱との関係

ひなたぼっこが気持ち良い家

ひなたぼっこが気持ち良い家

寒い冬には、太陽の熱が家の中に暖かさを届けてくれます。一方、夏には太陽の熱が家の中に暑さを侵入させます。冬は暖かさの恩恵を十分に受け、夏は暑さを侵入させない為には、軒、窓、間取り、空調の方法に工夫をしなくてはなりません。

明るさと暖かさを採り入れる

周辺の環境と窓の向く方角と位置、窓のサイズによって採光量が変わります。隣家との距離が離れている、周辺にマンションやビルがないという敷地環境では、窓の向く方角と位置が適切であれば、陽射しは十分に採り入れられます。十分な陽射しが入る家は、晴れている日の日中は照明がなくても日常的な作業を滞りなく進められることに加えて、太陽からの輻射熱により室温が上昇するので、暖房負荷が改善します。

一方、隣家との距離が近い、3階建て住宅やマンションが多い地域であるというような場合には、周辺の環境に合わせて計画を進める必要があります。吹き抜けやトップライトなど窓の配置を調整して、高い位置からの陽射しを採り入れる工夫をする必要があります。窓の位置だけではなく間取りも太陽の熱と光の取得量に影響します。

日射を遮蔽する

夏の室温上昇を抑える為には、窓からの太陽の熱の侵入を遮らなくてはなりません。室内に侵入する熱のうち、70パーセント以上が窓からの熱です。そこで夏の室温上昇を抑える為に、日射遮蔽の対策が求められます。窓からの熱の侵入を遮ることが出来ると、冷房エネルギーを最小限に抑えられるので、環境負荷の軽減につながります。

冬場の日射の取得と夏場の日射の遮蔽という相反することを、季節による太陽高度の変化を利用したり、方位別に窓に使うガラスの性能を変えたり、生活の工夫や外構の設えなどにより、解決する方法を考えてみましょう。

深い軒

東京付近(北緯35°)での夏の南中高度は78°、冬の南中高度は32°で、じつに46°もの違いがあります。その違いを上手に利用して軒の出幅を設定し、太陽高度の高い夏は深い軒が陽射しを遮り、太陽高度が低い冬は軒に遮られることなく陽射しを享受できるような計画が可能です。周辺の建物の立地状況や、計画建物の方位を考慮した日影シミュレーションをして、軒の出幅や高さを検討することが大切です。

日射取得型、日射遮蔽型のLow-E複層ガラス

窓のガラスには断熱性能を向上させる為、複層ガラスやトリプルガラスが使われます。それらのガラスの表面に金属膜を施し、熱線を反射させて輻射熱をコントロールする機能を併せ持つガラスがあります。

金属膜面を屋外側に設置して太陽からの熱線を反射遮蔽するガラスが日射遮蔽型Low-Eガラス、金属膜面を室内側に設置して太陽の熱線は入れつつ室内からの輻射熱は反射して断熱性能を良くするガラスが日射取得型Low-Eガラスといいます。

太陽高度が高い南面は、夏場は軒により日射が遮られるので、冬場に日射熱を多く採り入れられる日射取得型を、それ以外の方位は太陽高度が低く、軒による日射遮蔽は難しいので、日射遮蔽型のガラスを使うという計画が基本的な考え方になるかと思います。

それぞれの日射取得率はペアガラスで、日射遮蔽型が0.3~0.4、日射取得型が0.6~0.7程度です。冬場の南中時の日射熱の取得が、日射取得型の場合約200W/㎡ですので、日射遮蔽型はその半分程度の約100W/㎡となります。南面に1階2階で計5カ所の一間の掃出し窓を付けた場合、3.6㎡✕5カ所✕100W/㎡=1.8kWの取得エネルギーの差が日射取得型と日射遮蔽型では生まれるという事になります。高機能なLow-Eガラスですので、性能をしっかりと理解し、設置場所や方位を適切に設定することをお勧めします。

すだれやアウターシェード

窓の外につけるすだれやアウターシェードは、室内側につけるカーテンやブラインドよりも格段に高い日射遮蔽効果があります。すだれは太陽高度によって70%~100%、アウターシェードも色によりますが80%~90%もの日射遮蔽効果が期待できます。カーテンやブラインドと併用すると、さらに効果が上がります。暮らしの工夫で、日射熱が入るのを避けたい夏はすだれを設え、日射熱を採り入れたい秋から春にかけてはすだれを外し、陽だまりの心地良さを楽しむという事もパッシブデザインの大切な要素だと思います。

落葉樹

窓の近くに落葉樹を植えると、日射遮蔽の効果を得られます。夏は生い茂る葉が日射を遮り、冬には葉が落ちるので日当たりが悪くなる心配がありません。また、夏場の樹木の葉からは水蒸気が蒸発します。大気より軽い水蒸気が上昇気流をおこすことにより、木の根元付近では気圧が下がり、周辺に微風を発生させます。軒下で心地良いそよ風を感じたり風鈴の音に耳を傾けるのも、パッシブデザインのひとつといえるかもしれません。

参考サイト 一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会 開口部からの熱の出入りは、どの位あるのですか?

参考サイト YKKAP窓の教科書 暮らしを快適にする“断熱窓”

 軒のない家と軒のある家では、暮らしやすさと建物の耐用年数が変わります。また、同じ軒のある家でも軒の深さによって、軒から得られる効果が変わります。

コラム 深い軒のある家に対する疑問を解決

施工事例

パッシブデザインと自然エネルギー地域の風との関係

レンガ調タイル壁と連窓の家

レンガ調タイル壁と連窓の家

断熱気密性の高い住宅では機械換気が完備されるので、自然の風を採り入れる必要はないという考え方もありますが、パッシブデザインでは自然の風も活用します。地域の風の性質と、敷地周辺の環境に合わせた窓の位置や開閉方法、袖壁などによって、家の中に風を採り込みます。

気象庁のデータをもとに計画することが基本になりますが、季節や時間帯による風向や風の強さは、その土地の特性に左右されることの方が多く、データと実感では乖離するケースも多々あります。出来れば現地の季節ごと、時間帯ごとの状況を把握して、計画に反映されることをお勧めいたします。

窓の計画においては、ひとつだけの窓より対面の窓、同じ高さにある対面の窓より高低差のある窓は、風の通り道を拡げます。また、壁に沿って逃げてしまう風は、ウィンドキャッチ窓にする、袖壁を設けるなどの工夫で家の中に採り込むことが出来ます。

家の中に採り込まれた風は、空気を循環させる吹き抜けなどの間取り、風を通す格子やランマによって、家の中の空気を入れ替え、室内の熱や湿気、二酸化炭素などを外に排出します。その結果、家の中の湿度の上昇が抑えられてカビやダニが発生しにくくなる、新鮮空気と入替えられる、季節によってはエアコンをつけなくても涼しさが得られるなど、快適な環境が生まれます。

昔の日本の家と違い、現代の家は高気密化により隙間風がなくなっているので、窓からの風は住宅の換気性に役立ち、春や秋の中間期には湿度や温度の上昇を抑えます。

参考サイト DAIKIN 換気の基礎知識

施工事例

パッシブデザインと周辺環境や間取り、窓との関係

天窓のある2階リビングの家

天窓のある2階リビングの家

パッシブデザインにおいて窓は重要な役割を果たしています。ただ、地域の風や季節ごとに変わる太陽の位置に配慮された適切な位置にあり、十分な採光や採風ができる窓と、プライバシーが守られる窓、きれいな景観を採り入れる窓、外観のデザイン性を向上させる窓が必ずしも同時に実現できるわけではありません。

また、採光や採風の効果を上げる為に、吹き抜けを設けた場合、間取りや居住面積に制限が生じてしまうこともあります。パッシブデザインには、周辺の環境に合わせ、最大限自然の恵みを採り入れることが大切なのですが、そのために調整しなくてはならなくなる部分が出てくることもあります。

その為、パッシブデザインでの家づくりを計画する際には、パッシブデザインでの家づくりの良さが活かされる敷地を探すこと、敷地がすでに決まっている場合には、その敷地に建てる家に「採り入れ可能なパッシブデザインの項目と、採り入れた場合に生じる可能性のあるデメリットとその解決策」について施工先から十分な説明を受けることが大切です。

 注文住宅の間取りを決めていく際に、最も大切なことは家族の理想の暮らしができる家にすることです。その為には、具体的にどのようなことに配慮して計画を進めていくべきなのでしょうか?

コラム 注文住宅の間取りの決め方は何を基にするべき?

パッシブデザインとアクティブデザインの関係

自然の恵みを受けるという意味で能動的なパッシブデザインに対して、高効率な給湯器や冷暖房機器、照明器具など、省エネ設備を効率的に組み合わせることにより、消費エネルギーを抑えたり、快適な住環境を調える設計手法がアクティブデザインです。

パッシブ的な要素である、屋根面に降り注ぐ大量の太陽熱エネルギーを空気集熱し、アクティブ的要素のダクトファンにより床下に導入して、足元から家全体を温めるという、パッシブとアクティブの”いいとこどり”のようなシステムもあります。OMソーラーやそよ風、びおソーラーとよばれるシステムですが、導入費用と施工の確実性が効果を左右するところにハードルの高さがあるとも言われています。

パッシブデザインにせよアクティブデザインにせよ、建物の基本性能として、断熱性能と気密性能を調えることが大切であり、丁寧な設計や工夫が必要なことなど、重なっている部分が多数あります。次世代を担う人たちの地球環境維持の為に、待ったなしといわれている脱炭素社会の実現には、パッシブとアクティブの工夫をバランスよく上手に採り入れて、可能な限り環境負荷の軽減に貢献することが大切だといえるのではないでしょうか。

参考サイト 経済産業省資源エネルギー庁 家庭向け省エネ関連情報 省エネ住宅

■ 高性能住宅であるZEHのメリットとデメリットを確認しながら、快適で省エネな住宅を建てる方法を考えてみましょう。

コラム ZEHのメリットを活かす家づくり

施工事例

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

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