注文住宅の窓と間取り・室内環境の関係

 

注文住宅, 窓,間取り, 断熱性

家づくりプランを進めていく中で、決めなくてはならないこと、大切なことはたくさんあります。その中で、後回しにされがちな部分が窓のプランです。暮らしやすさを左右する間取りと室内環境、居心地の良さを作る内装、家に対する満足感を生む外観デザイン…の順に考えていくからでしょう。ただ、それらの要素全てに、窓は大きな影響を与えます。

間取りプランを進めていく際には、生活動線だけではなく、日当たり、風通しなどの室内環境に配慮することも必要です。内装は、天井や壁紙など内装材の選定だけで完了するのではなく、家具を配置した時に完成します。家具の配置には、窓の位置が大きく影響します。家の外観は、家全体のフォルム、屋根の形、建材の質感や色だけではなく、ドアや窓で印象が変わります。

家づくりプランにおいて、窓の重要性について具体的に考えていきましょう。

内装・外観と窓の関係

窓は暮らしやすさには欠かせない要素です。窓には、陽射しと風を採りこむという重要な役割がありますが、その他に、景観を採りこむという役割もあります。この部分が、内装に影響を与えます。内装に自然の彩りを加えられるからです。高窓からは空の景色、地窓からは庭の植え込み、大きな掃き出し窓からは、周辺の景観全てが楽しめます。

一方、窓の大きさと位置によっては、思うように、家具が配置できなくなることがあります。周辺の環境と窓の位置関係によって、掃き出し窓にする場合もあれば、高窓、腰高窓、地窓にすることもあるでしょう。その際に、窓の位置と、家具の高さや幅が合わないと、家具が思うように配置できません。ドレーキップ窓のように、内開きにもできる窓の場合には、窓の前方も空けておく必要があります。

その為、家づくりプランを進める際には、家具選びや家電選びも、同時に進めることが理想的です。購入予定の家具や家電のサイズを考慮した窓の配置ができるからです。

同時に、サッシの色や質感と、内装建材や家具の色と質感の調和も、内装の印象を変えます。サッシには、ブラックやブラウン系など、室内を引き締める効果のある濃い色、室内の雰囲気に自然に溶けこむ淡い色、シャープな質感のアルミ、ナチュラルな雰囲気の木目調など、異なる質感と多彩なカラーが揃っています。

同時に、サッシの外観色は、外観デザインの印象にも影響を与えます。その為、サッシの外観色にも、外壁の色や質感との調和に配慮されたカラーが揃っています。色だけではなく、窓の開閉方法、サイズ、位置も外観デザインの印象を変えます。和風の住宅には、引き違い窓が多く使われますが、外観デザインの調和を考え、上げ下げ窓、すべり出し窓、FIX窓などを採り入れる場合もあります。

室内環境と窓の関係

注文住宅, 窓,間取り, 断熱性

窓には、家全体の断熱性を向上させる働きと、陽射しと風を採りいれる働きがあります。

断熱性

夏涼しく、冬暖かい快適な室内環境を作るためには、断熱性と気密性の高さは欠かせない条件です。そして、窓は、住宅の断熱性と気密性に、大きな影響を与える要素の一つです。屋根、壁、床などに、優れた断熱性能の建材を採用し、隙間風を極力減らしても、窓の断熱性と気密性が十分でなければ、家全体の断熱はできないからです。

省エネ性能を高めることが、新築住宅に求められるようになってからの窓は、複層ガラスが基本です。ただ、複層ガラスによって、熱の移動は抑えられますが、引き違い窓の場合、サッシの種類によっては、サッシ部分からの熱の移動と、隙間風は避けられません。複層ガラスと組み合わされているサッシがアルミの場合、熱の伝わりを防ぐ樹脂サッシと違い、アルミには、熱の伝わりを防ぐ性質がないからです。さらに、樹脂製のサッシは、ガラスとサッシが組み立て式ではなく、溶接されているので、ガラスとサッシの間からの隙間風も防げます。

また、複層ガラスの種類によっても、断熱性能の高さは変わってきます。基本は、2枚のガラスが組み合わされている複層ガラスですが、2枚のうちの1枚にLow-E金属膜がコーティングされているLow-E複層ガラスという複層ガラスもあります。

西日が当たる部屋など、直射日光が強く入る部屋には、室外側にLow-E金属膜がコーティングされている遮熱機能があり、紫外線をカットする働きのあるLow-E複層ガラス、日当たりが良くない部屋など、冬の冷え込みが厳しい部屋には、室内側にLow-E金属膜がコーティングされているより高い断熱性を持つLow-E複層ガラスというように、窓の向きに合わせて選ぶことで、より室内環境を向上させられます。

複層ガラスには、2枚のガラスの間に空気が入っているタイプより、断熱性の高いアルゴンガスが入っているタイプ、さらに3枚のガラスを組み合わせたタイプなど、高機能な断熱窓が次々に開発されています。断熱性が高ければ高いほど、窓の価格も高額になっていきますので、比較的温暖な関東地方においては、やみくもに高断熱な窓を選ぶ必要はありません。窓の向きや、周辺の状況にも配慮して、適切な断熱性を持つ窓を選ぶことが大切です。

日当たり

南向きの窓は1日中日当たりが良く、北向きの窓は、どの時間帯においても直射日光が入ってきません。東向きの窓からは朝日が入り、西向きの窓からは午後、強い陽射しが入ります。

健康な生活をするために、暖かな陽射しは欠かせません。また、照明なしで、生活に必要な作業をできる明るさも必要です。ただ、すべての窓を南向きにはできません。同時に、日当たりの良さだけを考えると、南向きの窓のある部屋は、夏は暑い部屋になってしまう恐れもあります。起床時間の早い人にとって、東向きの窓のある寝室は、気持ちよく目覚められる部屋ですが、起床時間が遅い人にとっては、睡眠を妨げられてしまう恐れがある部屋です。

日当たりが悪いから…と倦厭されがちですが、柔らかい光が入る北向きの窓は、集中する作業をする人にとっては、過ごしやすい窓です。窓からの景観がより美しく見えるのも北向きの窓です。間取りと窓の位置を決める際には、そのような窓からの日陽射しの種類の違いも考えておく必要があります。

また、周辺の環境によっては、1階部分に陽射しを十分に採り入れられない住宅があります。その為、窓計画は、周辺の環境と間取りに合わせて、位置とサイズと窓の機能性を決めることが大切です。陽射しが採り入れられない環境にある場合には、天窓を作り、吹き抜けと組み合わせて1階の部屋にも陽射しを届ける、高窓を作るなどの方法で、陽射しを採り入れ、夏に日射熱が入りすぎる窓には、陽射しを遮る工夫が求められます。

天窓と吹き抜けを組み合わせる場合、日当たりは良くなるのですが、注意しなくてはならない部分もあります。ひとつは夏の暑さです。北向きの傾斜に設けられた天窓であればそれほどでもありませんが、それ以外の向きに設けられた天窓は、強い日射熱が入るので、遮熱機能のあるガラスにする他、天窓専用の日除けも必要です。また、空間が繋がるので、冬は暖房が効きにくくなる恐れがあります。冬を暖かく過ごせるよう、高断熱の壁や床、高断熱の窓にすることが大切です。

風通し

現代の住宅は、気密性が上がったため、優れた換気計画が備えられていますが、季節によっては、窓からの風も快適な生活には必要です。地域の風の性質に合わせた窓の位置と開閉方法が、窓からの風通しを良くします。

壁に沿って窓を通り過ぎてしまう窓には、ウィンドキャッチャーとも呼ばれる縦すべり出し窓を設置する、対面の窓は、高い位置と、低い位置に設置し、風の通り道を作るなどの方法があります。

■ ■ ■

快適な室内環境は、暮らしやすい家を実現します。
部屋の使用目的に合わせた陽射しが入る窓を選ぶと、窓からの陽射しが心地よく感じられる部屋が生まれます。
周辺の環境に合わせた窓は、陽射しと風を届け、室内に季節の彩りを添えてくれます。
窓は、家にとってとても大切な要素です。
暮らしやすさに繋がる窓のある家を実現しましょう。

 

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

詳しいプロフィールはこちら ブログはこちら
先頭に戻る
MENU