新築住宅には窓の少ない家が多い?窓と暮らしの関係

光が溢れ風が通り抜ける家

近年、新築住宅の中に、窓の少ない家を見かけるようになってきました。断熱の弱点である窓を少なくして、断熱性能の数値を良くしたいとか、工事費を節約したいというのがその理由として考えられます。そして、家づくりを計画中には、通りを歩いている時に、目に入る住宅が気になることが増えると思います。窓の少ない家を見て、日当たりや風通しを考えると、窓は多い方はいいと思うけれど…?と思われる方もいらっしゃるでしょう。

窓は暮らしに大きな影響を与えます。多ければ良いというものではありませんが、窓の少ない家は暮らしやすい家なのでしょうか?窓には、陽射しや明るさを採り込む、風を通す、風景を取り込むなどという役割があります。そして、窓の数や位置、方角、サイズ、開閉方法によって、窓が暮らしに与える影響が変わります。窓は少なくするべきなのか、多くするべきなのか、窓が暮らしやすさに対して担う役割と共に考えていきましょう。

陽射しと窓の関係

窓と言えば、日当たりの良さを思い浮かべる人が多いと思いますが、窓の設け方によって、採光量以外のことも変わります。窓が向いている方角、季節、時間帯によって、日当たりの良さ、光の質が変わります。その為、部屋の位置、部屋の使用目的に合わせて、窓の位置、サイズ、開閉方法を選択していく必要があります。

陽射しと部屋の位置や使用目的との相性

日が当たる時間帯と光の質は、窓の向いている方角によって変わります。東側の窓がある部屋は、日が昇る時間帯から陽射しが入り始めます。埼玉県では、冬は7時少し前から、夏は4時半くらいから明るくなり始めます。そして、朝日には、メラトニンというホルモンを分泌させ、人間の睡眠のサイクルを調える効果があります。その為、東向きの窓は、早起きの習慣をつけさせたい子供の部屋や、朝日を浴びて気持ち良く目覚めたい人の寝室に向いています。

西側に窓のある部屋は、午後、強い陽射しが入り込み、壁や床、家具が褪色させます。他の向きの窓より、夕方遅くまで明るさが続く、冬は、陽射しのおかげで暖かいという良さがある一方、夏は室温が上がってしまいます。その為、大きな窓が必要ない浴室や、トイレ、納戸などに充てることが多いです。

東西面の窓にあたる陽射しは太陽高度が低いので、隣地の建物や樹木の影響を受けやすくなります。朝日を採り入れるために設けた東面の窓が、隣家の影で陽が入らないという事もあり得ます。また、軒の出で日射をコントロールする事も難しいので、季節ごとの陽の当たり方をチェックしなければなりません。

南側に窓がある部屋は、午前中から午後まで、日当たりの良さが続きます。その為、南側に窓のある部屋は、リビングに充てる間取りが多くに人に好まれています。ただ、日射遮蔽も同時に考えないと、夏は室温が上昇してしまいます。南側に当たる太陽は冬場と夏場でかなり入射角度が違うので、比較的軒の出で日射のコントロールがしやすいです。冬場の南中高度で陽がフルに入り、夏場は軒の出でしっかりと遮蔽できるように計画しましょう。

北側に窓がある部屋は、直射日光が入らず、柔らかで安定した光が入ります。一般的に、北向きの窓は、日当たりが悪いとされ、嫌われる傾向にあります。しかし、晴れた日の昼間は、照明がなくても、日常的な作業ができる明るさはあります。さらに、眩しさがないので、集中力を妨げません。書斎や、子供の勉強コーナーなど、集中力を求められる作業をする部屋に向いています。ただ通常の場合、壁に比べ窓は熱の出入りがかなり大きいので、あまり大きな窓を設けると冬場の室温低下の原因になる事も考慮しなければなりません。

窓の位置と形によってかわる採光量

窓の位置によって同じ方角に向いた窓であっても、採光量が変わります。最も採光量の多い窓の位置は、屋根につける天窓です。ただし、天窓は日射熱のコントロールが難しいこと、屋根面の防水性能が低下するリスクがあるということなど、問題点もあるので採用に際しては慎重に検討する必要があります。

壁につける窓の中で、高い位置の窓からは家の奥まで光が届きます。低い位置につける窓は、床に光を拡げます。また、縦長の窓と横長の窓では、同じ面積であっても部屋の明るさが変わります。縦長の窓は、部屋の手前から奥まで光が届きます。

風を通す・熱の出入りを妨げる

レンガ調タイル壁と連窓の家

レンガ調タイル壁と連窓の家

換気には、自然換気と換気扇による機械換気があります。窓からの風は自然換気です。現代の住宅においては自然換気だけでは十分ではありませんが、快適さや省エネを考えると、自然換気はとても魅力的です。自然の力で家の中の空気を入れ替え、室内の熱や二酸化炭素などを排出してくれるからです。

風の通り道を創る

風を通すためには、対面に窓を設ける、家全体の窓に高低差をつけるなど、風の通り道を作る必要があります。間取り上、対面の窓を設けられない場合には、出入口のドアの上に欄間を設け、廊下などを介して風の通り道を確保するなどの工夫もあります。また複数の縦すべり出し窓を開き勝手を逆にして設置するとウィンドキャッチとなり、一面の壁であっても、風の通り道が生まれます。

熱の出入りと紫外線対策

現代の住宅において、窓は熱の出入りが最も大きな部位と言えます。それでも、アルミサッシと一枚ガラスの窓がほとんどだったころに比べ、近年はペアやトリプルなどの複層ガラス、樹脂枠のサッシの開発が進み、住宅の断熱性向上に一役買っています。

窓の断熱性能は、ガラスとサッシ枠の選び方で変わってきます。ガラスで言えば、単層・複層や、表面に金属膜を施して日射熱を遮蔽したり室内の熱を逃さない性能のあるLowEガラス、複層ガラスの中間層をガス封入や真空としたものなど、性能や用途に応じて様々な選択が可能です。サッシ枠も、アルミ製、アルミ樹脂複合、樹脂製、木製と多彩で、枠の内部にも断熱材を仕込んだものなどもあり、数段階の断熱性能の差があります。

ガラスの選択の目安ですが、地球温暖化が今後も続くことを考えると、先ずは夏の猛暑に備えるべきでしょう。前述したとおり、東西面は軒の出による陽射しの制御が難しいので、日射熱遮蔽型LowEガラスを。南面は夏場の日射は軒がカットしてくれるので、冬場にたっぷりと日射熱を採り入れられるように日射熱取得型LowEガラスを選択するという事を基本に、敷地周囲の環境や建物形状により決定しましょう。その為にも、陽当たりシミュレーションは必須です。

ガラスやサッシ枠の選定でもう一つ目安となるのが、冬場に快適な室温・湿度の状況で結露しない性能を有している事です。これは簡単な結露計算でチェックできますので、設計士さんや施工業者さんに相談してみましょう。結露はカビやダニなどの発生の原因となります。

屋根や壁、床の断熱性も重要ですが、先ずは窓の断熱性能の強化が最も効果が高くなりなす。家に入ってくる熱のうちの73%、家から逃げていく熱のうち58%が、窓やドアなどの開口部を通っているからです。

参考サイト 省エネルギー建材普及促進センター開口部からの熱の出入りは、どの位あるのですか?

もう一つ、窓ガラスには、紫外線を遮る機能を持つガラスもあります。普通ガラスで43%、前述のLowEガラスで76%、防炎安全複層ガラスで99%、紫外線をカットしてくれます。陽射しが強く当たる部屋の、壁や床、家具の褪色を防ぎます。

窓からの景観とプライバシーの確保

窓から緑を眺めて暮らせる家

窓から緑を眺めて暮らせる家

窓からの景観は、部屋に彩りを与えてくれます。ただ、敷地周辺の環境によっては、室内に採り込みたくないような景色であったり、景観は良いが、通りからの視線も同時に入ってきてしまうという状況であったりすることもあるでしょう。

リビングの掃き出し窓からは、庭の樹木や草花が見え、さらに庭の先には、緑の多い自然が広がっているという理想的な環境に恵まれることもあります。しかし、住宅地では、そのような窓を設けられない環境にある場合も少なくありません。

最近、限界集落での古民家暮らしに憧れる人が多い理由の一つは、どの窓からも、緑豊かな自然の景観が採り入れられるということではないのでしょうか?ただ、住宅地においては、そのような環境は稀なので、工夫が必要になります。窓からの景観を採り入れる為には、いくつかの方法が考えられます。周辺の環境に合わせて、間取りと窓の向きや位置を決める、または、エクステリアで景観を良くしつつ視線を遮るという方法です。

南側の景観が良くない場合、南向きの掃き出し窓にこだわらず、景観が良い方角に向けて窓を設けられるよう、敷地のゾーニングの段階から計画していくという考え方もあります。道路との位置関係などから、どうしても景観の良い方向に窓を設けられない場合には、樹木や木塀など外構計画の工夫で、景観の良さを創り上げるという方法も考えられます。

もう一つ考えておきたいことは、年月による変化です。家を建てた時は、掃き出し窓から、緑の多いきれいな景色が見えていたのに、数年後には、隣家が建ってしまった、景観を楽しむどころかプライバシー確保のため、常にカーテンを閉めておかなくてはならなくなったというような状況になることがないとは言えません。住宅地で、周辺に空き地がある場合、隣家が建つことも想定して間取りを計画していくことも必要です。

■ ■ ■

住宅の断熱性を考えた時に、極力窓の少ない家にするという方法は、住宅の断熱性を向上させるためには、有効であると言えるかもしれません。窓を少なくすれば、その分建築費も抑えられます。断熱性能を示す指標であるUA値は、極端に言えば窓がない建物が最も良い数値になります。ですが、実際の生活ではそんな住宅はあり得ません。日々の暮らしで重要な指標は、室温を快適に保つためにどれだけのエネルギーが必要かを示す冷暖房負荷という値になります。窓からは太陽の熱や光が光熱費無料で得られます。幅1.6m✕高さ2.0mの掃出し窓からは、電気ストーブの強運転(1kw)と同じだけの暖かさが入ってきてくれるのです。また、窓からの自然の風は、私たちの生活に、快適さを生み、季節の匂いを届けてくれます。できれば、窓からの明るい光と風、景観を楽しめる家で潤いのある生活をしたいと多くの人は思うのではないでしょうか?

もちろん、それだけを考えて、大開口の多い家にすれば、耐震性が低下する、家具が配置しにくくなる、家中に外からの視線が入り込み、プライバシーを保てなくなる、などの問題が発生します。やみくもに窓を設ければ、夏・冬の快適性を損ねることにもなりかねません。余談ですが今、透明の断熱材とガラスを組合わせて、壁の断熱性能よりも優れた窓が開発されています。北側に公園や美しい桜の木がある敷地で、思い切り大きな窓から風景を眺められるようになるのも、そう遠い未来ではないのかもしれません。

部屋の使用目的や敷地周辺の環境、間取り全体とのバランスに合わせ、最適な窓のサイズや位置などを計画することが、暮らしやすい家にするポイントの一つです。

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

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