“断熱等級”と“省エネ等級”それぞれの違いや関係性は?2022年改正についても

地球温暖化など環境問題について毎日メディアで目にすることの多い昨今ですが、住宅についても環境に配慮することはもはや当たり前になりつつあります。「高気密・高断熱住宅」と銘打つ住宅が多い中、一般の方がその性能を判断する材料が“断熱等級”や“省エネ等級”です。

しかし、それらの意味や違いについて本当に理解している方は決して多くはありません。実際に、メディアなどでも間違った使われ方をされていたり、混同されていることも。そこで、今回はこれらのキーワードについて詳しく解説します。

“断熱等級”と“省エネ等級”それぞれの成り立ちや意味は?

「断熱」や「省エネ」は、今や私たちの生活と密接な関係にあります。しかし一方、「断熱等級」や「省エネ等級」となるとどうでしょう?“なんとなく”のイメージしか持っていないという方が大半かもしれません。

この2つの言葉を解説する上で切っても切り離せないのが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」です。2000(平成12)年に施行された法律で、新築住宅について、建設会社に一定期間の瑕疵担保責任を持つことや、住宅の性能を明確に表示するための基準が定められました。これらは、その当時急増していた住宅に関する様々なトラブルを抑制させることと、環境配慮型住宅の普及を目的として制定されたのです。

断熱等級と省エネ等級の両方とも、この法律の中で定められた基準ではありますが、この二つの言葉は似ているようで少し違う意味です。では、それぞれ詳しく解説していきます。

断熱等級

断熱等級とは、正式名称を「断熱等性能等級」とし、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」の中で定められた断熱性能を表す指標です。昨年の10月に等級6と7が新たに加えられて、等級1〜7が定められております。

それぞれの等級によって、以下のような断熱性能を持つことがわかります。

等級1 1988年以前に制定
等級2 1989年に制定、旧省エネ基準
等級3 1992年に制定、新省エネ基準
等級4 1999年に制定、次世代省エネ基準
等級5 2022年4月に制定、ZEH水準と同様
等級6 2022年10月に制定、ZEH水準を上回る等級でHEAT20のG2グレードと同等
等級7 2022年10月に制定、HEAT20のG3グレードと同様

 

等級が大きくなればなるほど、断熱性能が高いことを示します。

 

〈ZEH〉

ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの省略で、高断熱や高性能設備を備えることで極力人工エネルギーを使わずに、さらに太陽光発電などで自然エネルギーを生み出して 、“実質・消費エネルギーゼロ”を目指す住宅のことです。経済産業省や国土交通省など各省庁で、補助金を設けるなど積極的な普及活動を行なっています。

2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画における「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」という政府目標の達成に向けて、ZEHの普及に向けた取り組みを行っていきます。平成28年度より、自社が受注する住宅のうちZEHが占める割合(ZEH化率)を2020年までに50%以上とする目標を宣言・公表したハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、リフォーム業者、建売住宅販売者等を「ZEHビルダー」として公募、登録し、屋号・目標値等の公表を行ってきました。更に、2021年度からは、2030年目標の達成に向けて、2020年度のZEHの供給実績に応じて、ZEH化率が50%を超えている場合は75%以上を、50%未満の場合は50%以上を2025年度の目標として宣言・公表した新たな「ZEHビルダー」制度の運用を開始しました。

引用元:経済産業省 資源エネルギー庁|ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

〈HEAT20〉

一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会住宅」のことで、住宅の設計・施工技術に関する研究調査や技術開発やその普及に取り組み団体です。外皮性能水準別外皮平均熱貫流率によってG1〜G3のグレードに住宅を区分します。

省エネ等級

省エネ等級は、正式名称を「省エネルギー対策等級」とし、断熱等級と同様に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」の中で規定された住宅性能表示制度の評価基準です。実は、先ほど紹介した「断熱性能等級」は、この省エネルギー対策等級のうちの一つになります。その他にも、「一次エネルギー消費量等級」も省エネルギー対策等級に含まれ、こちらは消費量が少ない程、等級が高くなります。

住宅の性能を表すだけではなく、各補助金やフラット35などの住宅ローンについての判断基準にもなるため、住宅建設において重要なポイントです。2021年までは、断熱性能等級と一次エネルギー消費量等級のどちらか一方を選択して、等級評価を受けられましたが、2022年からは両方を評価取得必須項目とすると改正されました。つまり、省エネ等級は、「断熱(温熱対策)」と「エネルギー消費量」2つの視点でその住宅がどれほど省エネに配慮した住宅であるかを示す総評なのです。

〈一次エネルギー消費量等級〉
一次エネルギーとは、自然界から得られた変換加工しないエネルギーのことです。種類はさまざまあり、石油や石炭、天然ガス、ウランのような採掘資源から太陽光、水力、風力といった再生可能エネルギー、さらには薪や木炭なども含まれます。住宅の断熱性能を高めたり、高効率設備機器を導入することで、この一次エネルギーを削減できます。太陽光発電設備によるエネルギー消費量の削減を見込まない状態で、基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エネルギー消費量の割合(BEI指数)によって一次エネルギー消費量等級を区分します。

参考サイト 国土交通省 住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設

施工事例

2022年の“品確法”改正は大きな節目

2022年、日本は環境配慮型住宅を考える上で新たな節目となりました。その理由は、ずばり「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」における日本住宅性能表示基準が改正されたから。主な改正のポイントは下の4点です。

  • 断熱性能等級5の新設(2022年4月に完了)
  • 一次エネルギー消費量等級6の新設(2022年4月に完了)
  • 断熱性能等級6・7の新設(2022年10月に完了)
  • 断熱性能等級4以上の義務化(2025年実施予定)

まず、既に導入済みなのが「断熱性能等級5~7の新設」「一次エネルギー消費量等級6の新設」です。国土交通省は、その目的を『2050年のカーボンニュートラル・脱炭素化実現に向けた住宅の省エネルギー性能向上』としており、一般住宅についてもZEH水準以上の性能を求めることとしています。そして、昨年10月に断熱性能等級6・7が導入されたことにより、より一層住宅の省エネ化が加速化するでしょう。2030年には適合義務基準の更なる底上げも検討されており、住宅業界は大きな変革期に入っています。

新築住宅の省エネ化は、今や一部の人にだけ関わる課題ではありません。今後、住宅の最低断熱等級が義務化されることにより、これから家を建てる人全てにとって、意識せざるを得ない問題となるはずです。

参考サイト 国土交通省 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について

「高断熱住宅」「省エネ住宅」に明確な定義はない

新築住宅のチラシやパンフレットを見ると、「高断熱住宅」や「省エネ住宅」と書かれているものも多いでしょう。確かに、環境を配慮した住宅と言えば、この2つが思い浮かびます。しかし、実はこの2つには明確な基準はありません。そのため、ハウスメーカーなどによってその性能は異なります。つまり、キャッチコピーだけを鵜呑みにするのではなく、必ずその詳細まで確認しなくてはいけないのです。

そこで一つの評価基準となるのが、断熱等級を含む省エネ等級。

フラット35などの住宅ローンを利用する場合や、各種補助金・助成金を利用する場合は、設計上どこまでの等級をクリアできるかが重要なポイントになります。早い段階から、どれほどの省エネ性能を備えた住宅にしたいのかを、綿密に打ち合わせしてください。

“断熱”はあくまで”省エネ”対策のうちの一つ

断熱はあくまで住宅を省エネ化をする上での一つの方法に過ぎません。その他にも、以下のような方法があります。

  • 家の断熱性を高める
  • 家の気密性を高める
  • 高効率の設備機器を備える
  • 自然エネルギー(太陽光・地熱など)を活用する
  • 換気を十分取り、室内環境を快適に整える
  • 遮熱を意識する …

日本の住宅は、残念ながら世界でもまだまだ“省エネ化後進国”で、法整備や施主・施工会社の意識も先進国と言われる国には追いついていません。ただし、設定された水準は未だ国際的に低いものの、少しずつ着実に日本の住宅は変わりつつあります。そんな過渡期である今だからこそ、「住宅の省エネ化=断熱」に捉われずにフレキシブルなアイデアで環境配慮住宅を提案できる会社を選びましょう。

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施工事例

環境配慮型住宅は実績のある工務店・設計事務所に

SDGs、カーボンニュートラル…環境問題を解決に導くための様々な取り組みがなされる中、「環境に配慮した住宅」をセールスポイントにしている工務店は数知れません。では、その中でどのような会社に相談すれば良いのでしょうか?

それは、「実績のある会社」です。設計事務所や工務店を選ぶ際には、必ずその会社の施工事例を見てみてください。また、現場管理体制や技術力も確認しなくてはいけません。省エネ住宅を建てるには専門的な知識に加えて、最新設備の情報、関連法規などが必要です。また、それを具現化する施工力も欠かせません。価格や会社の規模には惑わされず、要望・希望や省エネに真摯に向き合ってくれる会社を選びましょう。

蓮見工務店の家づくりへの想い

注文住宅,家づくり,設計

私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」ならではの
手作りの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきた
デザイン性、高性能な家を提供させていただきます。

「熱を集め、移し、蓄える」

「風を通し、涼を採り、熱を排出する」

「直接的な日射を避ける」 「断熱・気密性を高める」

などのパッシブデザインも積極的に取り入れ、
今まで多くの雑誌にも掲載していただきました。

快適で心地よい暮らしは、設計、性能、見た目のデザインなど、
全てのバランスで実現できます。

そして、経験豊富な職人の手によってカタチになるのです。
私たち蓮見工務店は、それらすべてにこだわり、
お客様の一棟に全力をそそいでまいります。

注文住宅やリフォーム、リノベーション、店舗などの建築を
ご検討中の方には、これまでに携わったお宅をご見学していただけます。

「木造住宅の視覚的な心地よさ、
木にしか出せない香り、温かみのある手触り」

「木の心地よさと併せて太陽の光などを取り入れた、
パッシブデザインの良さ」

を感じて頂けます。

ご希望などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

監修者情報

蓮見幸男

蓮見幸男

住まいの知恵袋、家づくり問題解決仕事人

住宅に関するさまざまな事柄(耐震・温熱・耐久性など)を計算やシミュレーションにより可能な限り〝見える化"し、安心・快適な唯一無二の住まいをリーズナブルにお届けしたいと考えています。

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