【住宅のピアノ置き場】間取り・設置のポイント、よくある質問を建築士が解説

ピアノを置く前提で家の間取りを検討する場合、設置に適した場所とそうでない場所の条件を知ることはとても重要です。
ピアノ置き場に適した場所を選ばないと、ピアノが劣化したりご家族のストレスに繋がります。
そこで今回は、住宅のピアノ置き場について、設置環境の絶対条件と置き場に適していない場所の特徴を建築士が解説します。
ピアノをご自宅に置きたい方にとって重要な間取りのポイントや、床補強など多くの方からいただくご質問も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
⚫︎これからご自宅をリノベーション・新築したい方は、ピアノをどこに置くか設定してからプランを検討する方法がおすすめです。
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目次
ピアノ置き場の絶対条件

ご自宅にピアノの練習スペースを設ける場合、置き場を選ぶ際には以下の条件を満たしているか確認しましょう。
搬入しやすい場所
ピアノを搬入しやすい場所としては、庭などから直接出入りできる掃き出し窓など大きな開口がある部屋です。
比較的軽いアップライトピアノでも、重量は200〜280kg(成人男性3人分)程度あるため、設置場所はできるだけピアノを搬入しやすい場所を選ぶことが重要です。
2階以上に運ぶ場合、いざピアノを搬入する際に回り階段や曲がり階段を曲がりきれずに荷揚げできないケースも珍しくありません。
窓からの日差し・エアコンの風が当たらない場所
ピアノは木製、弦は金属製で、温度や湿度の変化によって調律が狂うため、窓からの日差しやエアコンの風が直接当たらない場所を選びましょう。
湿度が高い場所では、音がこもって鍵盤が重くなりやすく、部品の劣化につながります。
逆に、乾燥している場所では内部の木製部品が収縮して取り付けビスが緩み、故障の原因になりかねません。
一定の温度・湿度が保たれている場所
ピアノにとって最適な環境は、温度と湿度が理想の状態で安定している場所です。
| 温度環境 | 夏季:20〜30℃ 冬季:15〜25℃ |
| 湿度環境 | 夏季:40〜60% 冬季:30〜60% |
この環境を保つために、適宜、加湿器や除湿器を使うのも良いですが、24時間換気で常に空気を入れ替えられる設備がおすすめです。
計画的に室内が換気される家は、結露などを防止できて、快適性が高まるだけではなく、構造体の劣化も防止できます。
▶︎おすすめコラム:木造住宅の寿命と耐用年数の違い|寿命を延ばすための新築・リフォーム・メンテナンスにおけるポイント
ピアノを壁から少し離しても動線に影響しない場所
アップライトは壁につくように設置しますが、美しく音が広がるように壁から10〜15cm離して配置するのが理想です。
一般家庭で最も多く設置されているアップライトピアノは、背面に響板がある構造で、鍵盤が付いている側と反対方向に美しい音が響きます。
ピアノを壁から離して置くことにより、湿気がこもりにくくホコリ掃除が容易になる点もポイントです。
ただし、コンパクトな部屋では、ピアノを壁から10〜15cm離すと、動線を妨げる可能性があるのでご注意ください。
近所への音漏れが少ない場所
家のピアノを置くときに心配になるのが騒音問題ですが、ピアノの種類によって音の漏れ方が異なります。
| ピアノの種類 | 音の響き方(漏れ方) |
|---|---|
| アップライトピアノ | 背面に響板がありそこから音が出るため、隣家に面した外壁ではなく、間仕切り壁に背面を向けて設置すると、屋外への音漏れを軽減できる |
| グランドピアノ | 響板が水平に設置されていて上面から音が出るため、隣家に面した外壁に近い場所に設置しても音漏れしにくいが、振動音でトラブルになる可能性があるため、できるだけ家の中央に配置するのが望ましい |

ピアノを置いてはいけない場所の特徴

ピアノの配置場所を決める際、「置いてはいけない場所」の特徴を知っておくことも重要です。
以下のいずれかに該当する場所は、ピアノが劣化する可能性が高まります。
- 日当たりが良い窓際(ピアノが乾燥しやすく、表面の塗膜も紫外線によるダメージを受ける)
- オープンキッチンの近くなど、湿気がある場所(部屋の湿度が上がりやすい)
- 日当たりが悪い北向きの部屋で、換気設備が整っていない部屋(機械換気システムが導入されていれば、湿気がこもらずピアノ置き場に適している)
- 物が多い収納部屋など(換気システムが設置されていても湿気がこもりやすい)
- エアコンやストーブを常時使う部屋(湿度調整が難しく、乾燥しやすい)
- 床暖房パネルの上(木材の収縮や音の狂い、過乾燥によるヒビ割れの原因になる)

ピアノの種類と大きさ、設置スペースの面積目安

ピアノ置き場を決める際には、ピアノの劣化を防ぐ工夫以外に、演奏に適した環境であるかなど、チェックすべき点がいくつかあります。
また、ピアノの大きさを把握して、邪魔にならない設置場所を選ぶことも重要です。
動線を塞がない場所を選ぶ
ピアノ置き場を決める際、演奏中に他の人の動線を塞がない場所を選びましょう。
一見、ピアノを置くのに十分なスペースがあるように見えても、椅子に座って演奏するとその後ろを人が通れなくなるケースもあります。
そのため、ピアノ本体の大きさに加えて、演奏に必要なスペースのサイズも確認することが重要です。
| ピアノの種類 | 本体サイズ 設置に必要なスペース |
|---|---|
| アップライトピアノ | ・幅150cm/奥行き60cm(+壁から10〜15cm開ける) ・最低でも180cm×180cmあるのが望ましい(椅子を引くスペースに加えて、本体左右に調律作業のための空間が必要) |
| スモール(コンパクト)グランドピアノ | ・幅145〜150cm/奥行き145〜160cm ・270cm×270cm以上スペースが理想(壁から15cm以上離し、鍵盤側と逆側に調律作業するための幅100cmの空間を確保する) |
| グランドピアノ(一般家庭用) | ・幅145〜160cm/奥行き170〜185cm ・360cm×360cm以上スペースが理想(壁から15cm以上離し、鍵盤側と逆側に調律作業するための幅100cmの空間を確保する) |
搬入ルートを想定してから設置場所を決める
まずはどこからピアノを家の中に運び入れるかイメージすることが重要です。
ピアノの種類によって搬入出に必要なスペースの大きさが変わり、戸建住宅・マンションどちらの場合も2階以上に運ぶ場合はエレベーターや階段の広さに注意しましょう。
| ピアノの種類 | 搬入出サイズ |
|---|---|
| アップライトピアノ | ・幅160cm/厚さ70cm(梱包材含む) |
| グランドピアノ | ・脚を外した本体サイズ/厚さ40〜50cm(梱包材含む) |
ピアノは比較的軽いアップライトタイプでも200kgを超えるため、ピアノ専門の運搬会社に移動と設置の両方を頼むのが原則です。
手元(鍵盤)が見えやすい明るさを確保できる場所を選ぶ
ご自宅で快適にピアノを演奏するためには、適切な照度にすることも重要です。
鍵盤付近の明るさが勉強机のデスク上と同じくらいの300lx(ルクス)以上になるのが理想とされています。
(参考:e-GOV法令検索|事務所衛生基準規則)
ただし、十分な明るさを確保できていても、照明器具の位置によっては手元が演奏者(頭)の影に入り、手元が暗く見にくくなる場合があるのでご注意ください。
また、白い鍵盤にスポットライトなどの光が直接当たると、反射して目が疲れる可能性があります。
防音(音漏れ対策)する
周囲への音漏れを気にせず演奏を楽しみたい方は、ピアノ置き場を防音仕様にしましょう。
一般的な戸建住宅で採用される主な防音工事は以下の通りです。
- 外壁や間仕切り壁に、吸音・遮音シートを入れる
- 床材の下に制振マットを入れる
- 天井に、吸音・遮音シートを入れる
- 窓を防音サッシにするか、内窓を設置する
- 内装ドアを防音タイプにする
ピアノの音は空気伝搬音※1で、鍵盤を叩く音やペダルを踏む音は固体伝搬音※2なので、それぞれに適した対策をすることが重要です。
※1:空気の振動によって広がる音
※2:固体の振動によって広がる音
部屋の中に収める組み立て式の防音ユニットもありますが、サイズや形状をカスタマイズできないため、注文住宅ではあまり採用されず、マンションや賃貸住宅におすすめです。
壁・床・天井・開口部の対策に加えて、隣家の寝室・リビングなどから離れた場所にピアノ置き場を設けたり、事前にご近所とピアノを弾く時間について話し合うなどの対策も必要になります。
部屋の一部に設置する場合は集中できる工夫を
リビングの一角にピアノ置き場を設ける場合は、演奏に集中できる環境づくりを検討しましょう。
人が近くを頻繁に通る場所では、演奏に集中できないだけではなく、ご家族も遠慮してしまいます。
同じ部屋の中でも、ご家族がくつろぐ場所とピアノ置き場の間に、仕切りとなる腰壁や家具を配置する方法がおすすめです。
自宅リサイタル(演奏会)をする場合は“見え方”をイメージする
ご自宅で演奏会やリサイタルを開催したい場合は、それを想定した部屋の広さと家具のレイアウト、窓・照明器具の位置をご検討ください。
客席からピアノを眺めた時に、ピアノの背面にシンプルな壁があると、美しく見えます。
ピアノは直射日光が当たらない場所に設置するのが原則ですが、空間自体は明るく光に包まれる場所の方が気持ちよく演奏できます。
そのため、ピアノに日射が当たらない角度に高窓(ハイサイドライト)を設けたり、間接照明やスポットライトを取り入れたりするなど、部屋の完成風景をイメージしながらピアノ置き場を決めましょう。
吹き抜けの下もおすすめ
リビングや玄関ホールなど、吹き抜けがある場所にピアノ置き場を設けると、音が響きやすく気持ちよく演奏できます。
ただし、リビングの吹き抜けは日当たりが良い場合が多いため、どこにピアノを置くか検討する際には、日光がどのように差し込むかご確認ください。
これから家を建てる際には、建築士とどのような採光計画になるか十分シミュレーションすることが重要です。
▶︎おすすめコラム:【吹き抜けのある注文住宅】メリット・デメリットやよくある後悔の理由、おしゃれな事例を解説
▶︎おすすめコラム:【吹き抜けの窓】メリット・デメリットや大きさ、暑さ・寒さ対策について徹底解説
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自宅のピアノ置き場に関するよくあるQ&A

ここでは、ご自宅のピアノ置き場について多くのお客様からいただくご質問を紹介します。
Q.「ピアノ置き場の床は補強が必要?2階以上には設置しない方がいい?」
A.「建築基準法(施行令)で定める床の最低積載荷重をクリアしていれば、特別な床補強は必要なく、2階以上への設置も可能です。」
建築基準法で定める床の最低積載荷重は「1800N/㎡(=180kg/㎡)」※で、これに即していれば、6畳の部屋で1,600〜2,000kgの積載荷重を確保できる計算になります。
※住宅における居室の場合
(参考:e-GOV法令検索|建築基準法施行令第85条「積載荷重」)
ピアノの重さはアップライトピアノで190~280kg、グランドピアノで 280~500kg程度なので、家具や人の重さを加えても、最低積載荷重で十分対応でき、2階にもピアノを設置できるという訳です。
ただし、古い住宅だと構造体の劣化により新築時の想定積載荷重から低下している可能性があり、その場合は床の補強工事が必要になりますので、既存住宅の場合は事前に建築会社などの建物診断を受けましょう。
Q.「和室・畳の上にもピアノは置ける?」
A.「ピアノのキャスターには重量を分散させるインシュレーターという受け皿がセットになっていますが、畳の上では丸い跡が残る可能性があります。」
ただし、畳は木質フローリングと比べて吸音性が高く、戸建住宅・マンションのどちらにおいても、階下への音の伝わりを軽減できる点がメリットです。
畳に跡がつくのを防ぎたい方は、ピアノを置く範囲の畳にカーペットや床マットを重ね敷きするなどの方法をご検討ください。
Q.「風水的にピアノを置く場所に適している方角は?」
A.「風水学的には、音の出る場所を東か南東に置くのが良いとされています。」
ただし、風水には色々な解釈の方法があるため、風水学を踏まえてピアノ置き場を決めたい方は、専門家にご相談ください。

まとめ

ご自宅にピアノを置く場合、搬入経路や温度・湿度、日当たり、音漏れなど、多方面で気をつけるべき点があります。
これからご自宅をリノベーション・新築したい方は、ピアノをどこに置くか設定してからプランを検討する方法がおすすめです。
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