HEMSとは?|2025年補助金との関連性と導入のメリット・デメリット、費用を解説

2025年、大注目のおすすめ住宅設備がHEMS(ヘムス)です。
しかし、実際にどのような役割があるのか、導入する利点はどのような点なのかなど、気になる点は多いですよね。
そこで今回は、HEMSの基礎知識からメリット・デメリット、多くの方からいただく“よくある質問”を紹介します。
2025年に家を建てたい方必見のお得な補助金情報も解説しますので、ぜひ最後までごらんください。
● HEMS導入することで節電や快適な室内環境作りを実現できるだけではなく、補助金の対象となります。
●「蓮見工務店 + 蓮見建築設計事務所」は、“手作りの家”をモットーに埼玉県で高性能な住宅を数多く手がけています。
目次
HEMSとは|基礎知識と普及率

HEMSとは、「Home Energy Management Service」の略称で、ヘムスと読みます。
HEMSは家庭内で使用している電気機器について、リアルタイムなエネルギー消費量を“見える化”し、さらにAIなどの最新技術により家庭ごとの省エネプラン(=電気使用の最適プラン)を提案できるおすすめの設備です。
具体的に説明すると、以下の機器をインターネットによってネットワーク化するシステムです。
- 太陽光発電
- 電気温水器
- 家庭用蓄電池
- 24時間換気システム
- 空調機(エアコン・全館空調など)
- LED照明
- 玄関ドアなどの電気錠
- EVやV2H
- 電気のスマートメーター
- 電動シャッター
HEMSを導入している世帯割合は以下の通りです。
住宅の新築時期 | HEMS普及率 |
---|---|
2011~2015年 | 6.9% |
2016~2020年 | 10.5% |
2021年以降 | 9.2% |
まだまだHEMSは“一般的な設備”と言えるまでには至っていませんが、政府は住宅の更なる省エネ化を推進するためにHEMSの普及に取り組んでいます。

HEMS導入のメリット

政府がHEMSの普及を推し進めている背景には、カーボンニュートラル・脱炭素社会実現に向けた「住宅の省エネ性アップ」がありますが、HEMSを導入するメリットはそれだけではありません。
節電効果アップ
HEMSを導入すると、「どの機器でどのくらい電力を消費しているか」「どの時間帯の電力消費が多いか」「消費電力の無駄はないか」などが明確になります。
そのため、住む人の省エネ意識、ひいては節電意識が高まります。
実際に、HEMSを導入した世帯は、同じ家族構成の非導入世帯と比べて、電気の消費量が6%ほど減ったというデータもあるほどです。
室内の快適性アップ
HEMSと空調機器を連動させると、外気温や室温環境に合わせて自動で温度調整できます。
つまり、HEMSを活用すると「知らないうちに室温が上がって熱中症になる」などの事故を防げて、快適性が高まるということです。
エアコン以外にもHEMSに対応する家電製品は増えており、今度は人間が特に操作しなくてもベストな状態に自動で保たれる機能付き家電が増えると期待されています。
DR(ディマンド・リスポンス)を実現できる
DR(ディマンド・リスポンス)とは、電力の需要と供給のバランスを保つために、エネルギー消費者が電力使用量を制御する仕組みです。
DRを行わないと、日中は電力の需要過多となり供給が追いつかず、逆に夜間は発電したエネルギーが無駄になってしまいます。
HEMSを各家庭が導入すると、DRが自動的に行われ、安定した電力供給が可能です。
(参考:資源エネルギー庁|ディマンド・リスポンスってなに?)
補助金の対象になる
HEMSの導入件数がじわじわと増え始め、HEMSによる家庭部門の省エネルギー量は18%に到達しています。
しかし、この数字は政府目標には遠く及んでいないのが現状です。
実際に、政府が公表した第6次エネルギー基本計画によると、HEMSの導入目標件数は2030年に5,000万戸でしたが、2020年の時点で73万戸にとどまっています。
(参考:内閣府|HEMS普及への課題と提案)
そこで2025年から取り組まれているのが、住宅へのHEMS導入を対象とした補助金事業です。
HEMSを導入すると、補助金の対象となります。

2025年「子育てグリーン住宅支援事業」はHEMSの導入が必須

2025年注目の住宅を対象とした補助事業が「子育てグリーン住宅支援事業」です。
新築住宅の場合、補助対象となるのは「GX志向型住宅」「長期優良住宅」「ZEH水準住宅」で、子育て世帯・若者夫婦世帯以外の方が申請する場合は、HEMSの導入が必須条件になります。
(参考:子育てグリーン住宅支援事業|新築住宅の省エネ性能、高度エネルギーマネジメントの導入)
住宅の種類 | 1戸あたりの補助額 | 古家の除却※を伴う場合の補助額の加算額 |
---|---|---|
GX志向型住宅 =全世帯対象 | 160万円 | なし |
長期優良住宅 =子育て世帯または若者夫婦世帯 | 80万円 | 20万円 |
ZEH水準住宅 =子育て世帯または若者夫婦世帯 | 40万円 | 20万円 |
※新築住宅の施主及びその親族が所有する住宅の解体工事を行い、2024年11月22日から完了報告までに解体工事が完了する場合が対象
▶︎子育てグリーン住宅支援事業の詳細は【2025年補助金】子育てグリーン住宅支援事業|概要と申請時の注意点を簡単解説、「GX志向型住宅」の条件と「子育てグリーン住宅支援事業」申請のコツ|長期優良住宅・ZEHとの違いも解説をご覧ください。
HEMS導入のデメリットと注意点、対策

HEMSは家の省エネ化・スマート化を進める上で欠かせない設備ですが、導入前に知っておいていただきたいデメリットもあるので注意しましょう。
太陽光発電・オール電化・Iot家電を採用しないと効果が少ない
HEMSは太陽光発電や最新住宅設備、Iot※家電製品と組み合わせないと、正確な消費エネルギー量を把握できません。
※Iot:Internet of Things(和訳:モノのインターネット)の略称で、あらゆるものをインターネットに接続する技術
ガス併用の住宅も同様で、エネルギー消費量の最適プランがわかりづらく、節電効果をあまり実感できない可能性があります。
そのため、住宅を新築する際にHEMSを導入する際には、太陽光発電・家庭用蓄電池・オール電化に加えて、HEMSに対応可能な家電製品への買い替えも検討しましょう。
メーカー同士の互換性が十分でない
HEMSとHEMSに対応した機器はいくつかのメーカーを選べます。
ただし、機器ごとにメーカーが異なるとデータをうまく互換できない可能性があるので注意しましょう。
また、互換性はあってもHEMSが表示する省エネプログラムに設備機器や家電製品が対応できないケースも少なくありません。
そのため、HEMSと主要な設備機器・家電製品は、可能な限り同じメーカーにすることをおすすめします。
心配な方は、事前にHEMSのメーカーに設備機器・家電製品との相性を確認しておくと確実です。
費用面でのメリットだけを重視すると後悔することも
HEMSを活用すると月々の電気代節約につながりますが、新築時の導入コストやその後のメンテナンスコストを踏まえると、必ずしもお得とは限りません。
実際にHEMSのメリットをあまり体感できず、継続的に使用されないケースもあります。
また、HEMSが提案する省エネプランの基準値が曖昧で、何をどうすればいいか分かりにくい側面があるのも事実です。
そのため、設備機器・家電メーカーやエネルギー事業者、政府が協力し、問題の解決に努めています。
定期的なアップデートが必要
HEMSやその他関連機器、スマートフォンの専用アプリなどは定期的なアップデートが必要です。
また、機器を買い換えるとその都度、HEMSを設定変更する必要があります。
HEMSは日常的な操作をする必要はありませんが、機能をフル活用したい方は使い方を事前に理解した上で導入を検討しましょう。

HEMS導入の費用目安|新規導入時・月額

HEMSを継続的に活用したい方は、導入費用(イニシャルコスト)と維持費(ランニングコスト) を把握しておきましょう。
導入費用
新たにHEMSを導入するための費用は、以下の通りです。
内容 | 金額 |
---|---|
HEMS本体+モニター費用 | 5〜10万円 |
HEMS対応分電盤 | 17〜15万円 |
工事費用※ ・本体やメインユニットの設置 ・電力測定ユニットの設置 ・対応機器との接続 ・LAN配線工事 | 5〜15万円 |
※HEMS対応の設備機器・家電製品購入費用は別途
維持(月額)費用
HEMSを継続的に利用するためには、以下の費用がかかります。
- LAN(インターネット)通信費
- HEMSメーカーごとの月額利用料
HEMSの利用料はほとんどのメーカーが無料で設定していますが、月額で数百円から千円程度かかる場合もあるので、事前に必ずチェックしましょう。
【FAQ】HEMSに関する“よくある質問”

最後にHEMSに関してお客様からよくいただく質問を紹介します。
Q.「スマートスピーカーでも省エネになる?」
スマートスピーカーとは音声で操作できるワイヤレススピーカーを指し、家電や照明のオンオフを操作できるものもあります。
しかし、スマートスピーカーは本来、エンタメ系デバイスとして作られたものであり、単体では目に見えた省エネ性アップをあまり期待できません。
Q.「HEMSと太陽光モニターの違いは?」
HEMSは太陽光発電を含める家庭全体の消費エネルギーを管理するシステムで、太陽光モニターは太陽光発電のみに特化した機器です。
HEMSは発電エネルギーと消費エネルギーの両方をモニタリングでき、太陽光モニターは発電状況や売電量などを詳細に確認したい場合に設置します。
Q.「HEMSとMEMS・FEMS・BEMS・CEMSの違いは?」
HEMS(Home Energy Management System)が住宅向けのシステムであるのに対して、以下の違いがあります。
- MEMS(メムス:Mansion Energy Management System)=集合住宅(マンション)向け
- FEMS(フェムス:Factory Management System)=工場向け
- BEMS(ベムス:Building Energy Management System)=ビル向け
- CEMS(セムス:Community Energy Management System)=都市などの一定単位向け
それぞれ管理対象は異なりますが、電力エネルギーの消費量などをモニタリングしたりコントロールしたりする点は共通します。
Q.「HEMSには太陽光発電・エコキュート・オール電化は必須?」
HEMSには太陽光発電やエコキュート、オール電化が必須ではありませんが、節電効果は下がります。
これらの設備とHEMSを組み合わせることで「創エネ・蓄エネ・省エネ」をトータルで管理でき、災害時・停電時も限られたエネルギーを無駄なく使える点もポイントです。
先ほど紹介した子育てグリーン住宅支援事業を利用する場合、HEMSの設置に加えて、太陽光発電・エコキュート・オール電化を併用しないと、GX志向型住宅の条件を満たさないので注意しましょう。
Q.「HEMSの耐用年数(寿命)はどのくらい?取り替えスパンは?」
HEMS本体やその他関連機器の耐用年数は「10〜20年程度」です。
補助金を利用した場合は、法定耐用年数(6年間)の間、適正な管理及び運用を実行しなければいけないので注意しましょう。
「30年後もしみじみ“良い家”だと思える家づくり」をお手伝いいたします。

まとめ

HEMSは家庭の消費エネルギーを“見える化”し、省エネ性を高めることのできる最新設備です。
HEMS導入することで節電や快適な室内環境作りを実現できるだけではなく、補助金の対象となります。
何十年も安心安全に住める家を建てたい方は、「土地選び・間取りのプラン・住宅性能」の全てにこだわりましょう。
デザインと性能、快適さの全てを持ち合わせた家を埼玉県で新築・リノベーションしたい方は、注文住宅の事例が豊富な「蓮見工務店」にお任せください。
